学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §17 各論(骨折) 下肢 / QJ32P082

理由で解く 柔道整復師

QJ32P082 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問82
問題
骨盤骨裂離骨折の部位と原因の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 腸骨稜・腸腰筋の牽引
2 上前腸骨棘縫工筋の牽引
3 下前腸骨棘大腿筋膜張筋の牽引
4 坐骨結節 一・長内転筋の牽引
解答
正解2(上前腸骨棘縫工筋の牽引)
解説

骨盤の裂離骨折は「その骨突起に付く筋が急に強く引いた結果」として起こる。上前腸骨棘に付着するのは縫工筋(と大腿筋膜張筋)なので、2が正しい組合せ。

成長期は骨端核と骨本体の間の軟骨が力学的な弱点になるため、短距離走のスタート、跳躍、キックといった全力の筋収縮でその部位が引き剥がされる。だから対応関係は筋の付着部さえ押さえれば自動的に決まる。上前腸骨棘=縫工筋・大腿筋膜張筋、下前腸骨棘=大腿直筋、坐骨結節=ハムストリングス(大腿二頭筋長頭・半腱様筋・半膜様筋)、腸骨稜=腹筋群、小転子=腸腰筋、という五つが定番である。受傷時は該当部位の限局した圧痛と、その筋の抵抗運動での疼痛が手がかりになる。多くは保存療法で、初期は疼痛の出ない肢位で安静と免荷を保ち、疼痛の軽減に合わせて可動域訓練から筋力訓練へ段階的に戻していく。転位が大きい場合は手術が検討されるため、画像評価につなぐ。

✓ 2. 正しい
上前腸骨棘縫工筋の牽引
上前腸骨棘は縫工筋の起始(大腿筋膜張筋も近接して起始する)。ダッシュの初速など股関節伸展位で急激に縫工筋が働いた際に裂離する。股関節屈曲・外転・外旋の抵抗運動で痛みが誘発される。
✗ 1. 誤り
腸骨稜・腸腰筋の牽引
腸骨稜に付くのは外腹斜筋などの腹筋群で、体幹の急激な回旋・側屈で裂離する。腸腰筋が引くのは大腿骨小転子であり、小転子裂離骨折の原因となる。
✗ 3. 誤り
下前腸骨棘大腿筋膜張筋の牽引
下前腸骨棘に起始するのは大腿直筋(直頭)。ボールを蹴る動作など膝伸展の強い収縮で裂離する。大腿筋膜張筋は上前腸骨棘から腸骨稜前部にかけて起始するので、部位の組合せが入れ替わっている。
✗ 4. 誤り
坐骨結節 一・長内転筋の牽引
坐骨結節に付くのはハムストリングス。ハードリングや開脚など股関節屈曲・膝伸展位での急激な収縮で裂離し、座位で痛むのが特徴。長内転筋は恥骨に起始するため、坐骨結節とは対応しない。
ポイント
  • 骨盤裂離骨折は成長期に多い。骨端核と骨本体の間の軟骨が力学的な弱点になる。
  • 上前腸骨棘=縫工筋(・大腿筋膜張筋)、下前腸骨棘=大腿直筋。
  • 坐骨結節=ハムストリングス、腸骨稜=腹筋群、小転子=腸腰筋。
  • 限局圧痛+その筋の抵抗運動での疼痛が診断の手がかり。
  • 治療は疼痛の出ない肢位での安静・免荷から始め、段階的に可動域・筋力へ移行。転位が大きければ画像評価と医師の判断につなぐ。
比較表
裂離部位牽引する筋典型的な動作
上前腸骨棘縫工筋・大腿筋膜張筋ダッシュのスタート
下前腸骨棘大腿直筋ボールを蹴る
坐骨結節ハムストリングスハードリング・開脚
腸骨稜腹筋群(外腹斜筋など)体幹の急な回旋・側屈
小転子腸腰筋股関節の急激な屈曲
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