学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §17 各論(骨折) 下肢 / QJ32P083

理由で解く 柔道整復師

QJ32P083 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問83
問題
大腿骨骨幹部骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 近位 1/3部骨折の近位骨片は内転する。
2 近位 1/3部骨折の遠位骨片は外旋する。
3 中央1/3部骨折の近位骨片は外転する。
4 中央 1/3部骨折の遠位骨片は内旋する。
解答
正解2(近位 1/3部骨折の遠位骨片は外旋する。)
解説

大腿骨骨幹部骨折の転位は「骨片に付いている筋がどちらへ引くか」で決まる。近位1/3部骨折では、遠位骨片が内転筋群に内上方へ引かれつつ下肢の重みで外旋するので、2が正しい。

近位骨片には腸腰筋(屈曲)、中殿筋・小殿筋(外転)、外旋筋群(外旋)が付くため、骨折が高位であるほど近位骨片は屈曲・外転・外旋位をとる。一方、遠位骨片には内転筋群が付いて内上方へ引かれ、下肢自体の重さで外旋する。したがって近位1/3部骨折は「近位骨片が屈曲・外転・外旋、遠位骨片が内転・外旋・短縮」という典型像になる。中央1/3部骨折では、近位骨片に働く外転作用と内転筋の作用が拮抗するため近位骨片の転位は小さくなり、遠位骨片は内転筋に引かれて内上方へ、やはり外旋する。遠位1/3部骨折では腓腹筋が遠位骨片を後方へ引くため、膝窩動脈・脛骨神経の損傷に注意が必要になる。いずれの部位でも大量出血によるショックの危険があるので、疑った時点で下肢を動かさずに固定し、全身状態を確認しながら救急搬送する。

✓ 2. 正しい
近位 1/3部骨折の遠位骨片は外旋する。
遠位骨片は内転筋群に内上方へ引かれると同時に、下肢の重みで股関節が外旋するため外旋位をとる。外見上は患肢が短縮し、足先が外を向く。この所見は転位の方向を推測する手がかりになる。
✗ 1. 誤り
近位 1/3部骨折の近位骨片は内転する。
近位骨片に付くのは中殿筋・小殿筋(外転)、腸腰筋(屈曲)、外旋筋群(外旋)なので、近位骨片は外転する。内転するのは内転筋群が付く遠位骨片のほうで、向きが逆になっている。
✗ 3. 誤り
中央1/3部骨折の近位骨片は外転する。
中央1/3部では近位骨片に内転筋群の付着も及ぶため、外転筋の作用と拮抗して明らかな外転は生じにくく、近位骨片の転位は小さい。外転が目立つのは骨折線が高位(近位1/3)の場合。
✗ 4. 誤り
中央 1/3部骨折の遠位骨片は内旋する。
遠位骨片は下肢の重みで外旋する。内旋位をとることはなく、部位にかかわらず遠位骨片は「内転+外旋+短縮」と覚えると整理しやすい。
ポイント
  • 近位骨片=腸腰筋(屈曲)・中殿筋/小殿筋(外転)・外旋筋群(外旋)に引かれる。
  • 遠位骨片=内転筋群に内上方へ引かれ、下肢の重みで外旋する。
  • 近位1/3部骨折=近位骨片は屈曲・外転・外旋、遠位骨片は内転・外旋。転位が最も大きい。
  • 中央1/3部骨折=作用が拮抗して近位骨片の転位は小さい。遠位骨片は内転・外旋。
  • 遠位1/3部骨折=腓腹筋が遠位骨片を後方へ引き、膝窩動脈・脛骨神経損傷に注意。出血によるショックにも警戒し、固定して搬送する。
比較表
骨折部位近位骨片遠位骨片
近位1/3屈曲・外転・外旋内転(内上方)・外旋・短縮
中央1/3転位は小さい(軽度屈曲程度)内転(内上方)・外旋・短縮
遠位1/3転位は小さい腓腹筋により後方へ転位(血管・神経損傷に注意)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。