学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ32P079

理由で解く 柔道整復師

QJ32P079 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問79
問題
モンテギア(Monteggia)骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 屈曲型は前外側凸変形を呈する。
2 屈曲型は肘関節屈曲位で固定する。
3 伸展型は橈骨頭が後方に脱臼する。
4 伸展型は肘関節鋭角屈曲位で固定する。
解答
正解4(伸展型は肘関節鋭角屈曲位で固定する。)
解説

モンテギア骨折の伸展型では橈骨頭が前方へ脱臼するため、整復後は肘を鋭角に屈曲して前腕回外位に保ち、橈骨頭が前方へ戻らないようにする。よって4が正しい。

モンテギア骨折は尺骨骨幹部骨折に橈骨頭脱臼を合併したもので、型は「尺骨の凸の向き」と「橈骨頭の脱臼方向」で決まり、その二つは常に同じ側を向く。伸展型(頻度が高い)は肘関節伸展位で手をつき、肘に過伸展が強制されて起こり(前腕の過回内の強制が関与するとする説もある)、尺骨は前方(前外側)凸に折れ、橈骨頭は前方へ脱臼する。屈曲型は肘軽度屈曲位で前腕後面に外力を受けて起こり、尺骨は後方凸、橈骨頭は後方へ脱臼する。固定肢位は「脱臼した方向へ戻さない」という一点で決まり、伸展型は肘鋭角屈曲+前腕回外位、屈曲型は肘を鈍角(伸展寄り)に保ち前腕は回内〜中間位とする。伸展型で回外位をとるのは、回外位では上腕二頭筋が弛緩して橈骨頭を前方へ引く力が減るためである。尺骨単独骨折と思い込んで橈骨頭脱臼を見落とすと、変形治癒や後骨間神経麻痺を残すため、前腕骨骨折では必ず肘関節を含めて評価する。

✓ 4. 正しい
伸展型は肘関節鋭角屈曲位で固定する。
橈骨頭が前方へ脱臼した型なので、肘を鋭角に屈曲して前方の軟部組織を緊張させ、橈骨頭が前方へ戻る余地をなくす。あわせて前腕を回外位に保つのは、回外位では上腕二頭筋(橈骨粗面に付着し、橈骨頭を前方へ引く)が弛緩して再脱臼させる力が減るためで、この二つが揃うことで整復位が維持される。固定中は末梢の循環・知覚・運動を繰り返し確認し、腫脹が強い時期は締めつけに注意する。
✗ 1. 誤り
屈曲型は前外側凸変形を呈する。
尺骨が前方(前外側)凸となるのは伸展型。屈曲型では尺骨は後方凸に折れ、橈骨頭も後方へ脱臼する。凸の向きと脱臼方向がそろうことを押さえておくと混同しない。
✗ 2. 誤り
屈曲型は肘関節屈曲位で固定する。
屈曲型で肘を強く曲げると、後方へ脱臼した橈骨頭が再び後方へ押し出され再転位を招く。屈曲型は肘を鈍角(伸展寄り)に保ち、前腕は回内〜中間位で固定するのが原則で、伸展型とは固定肢位が逆になる。
✗ 3. 誤り
伸展型は橈骨頭が後方に脱臼する。
伸展型では橈骨頭は前方(前外方)へ脱臼し、肘窩の外側に骨頭を触れることがある。後方脱臼となるのは屈曲型。
ポイント
  • モンテギア骨折=尺骨骨幹部骨折+橈骨頭脱臼。尺骨の凸の向きと橈骨頭の脱臼方向は一致する。
  • 伸展型(多い)=肘伸展位で手をつき過伸展が強制されて発生。尺骨前方凸・橈骨頭前方脱臼。
  • 伸展型の固定は肘鋭角屈曲+前腕回外位。回外位で上腕二頭筋が弛緩し、橈骨頭を前方へ引く力が減る。
  • 屈曲型=尺骨後方凸・橈骨頭後方脱臼。固定は肘を鈍角(伸展寄り)+前腕回内〜中間位。
  • 固定肢位は「脱臼方向へ戻さない向き+再脱臼させる筋を緩める向き」を選ぶ、と原理で覚える。
  • 尺骨単独骨折に見えても橈骨頭脱臼の見落としに注意。後骨間神経麻痺の合併も確認する。
比較表
項目伸展型屈曲型
頻度多い少ない
受傷機転肘伸展位で手をつき、肘に過伸展が強制(前腕の過回内の強制が関与するとする説もある)肘軽度屈曲位で前腕後面に外力
尺骨の変形前方(前外側)凸後方凸
橈骨頭の脱臼方向前方後方
固定肢位肘鋭角屈曲+前腕回外位肘鈍角(伸展寄り)+前腕回内〜中間位
固定肢位の理由前方軟部組織を緊張させ、回外で上腕二頭筋を弛緩させて橈骨頭を前方へ引く力を減らす肘屈曲は橈骨頭を後方へ押し出すため避ける
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