学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 一般臨床医学 ▸ §21 臨床実地問題 / QJ32P045
理由で解く 柔道整復師
手指関節伸側の落屑を伴う紅斑(ゴットロン徴候)に、近位筋優位の筋力低下と筋原性酵素の上昇・炎症反応陽性が加わる組み合わせは皮膚筋炎の典型像です。成人、とくに中高年発症の皮膚筋炎は悪性腫瘍を合併する頻度が高いため、注意すべき合併症は2の悪性腫瘍です。
まず症状を筋肉の場所に翻訳します。階段を昇れない、椅子から立ち上がれないというのは股関節周囲筋や大腿四頭筋、つまり体幹に近い近位筋の障害を示します。皮膚筋炎・多発筋炎はこの近位筋が左右対称に侵されるのが特徴で、上肢では髪を洗う・高い棚に手を伸ばすといった動作が困難になります。次に皮膚所見です。手指関節の伸側(背側)に落屑を伴う紅斑が出るのがゴットロン徴候、上眼瞼に紫紅色でむくんだ紅斑が出るのがヘリオトロープ疹で、いずれも皮膚筋炎に特徴的です。血液検査ではCK・アルドラーゼ・AST・LDHといった筋原性酵素が上昇し、炎症反応も陽性となります。ここまでで診断は皮膚筋炎に絞られます。そのうえで臨床上いちばん警戒されるのが悪性腫瘍の合併で、成人例では胃・肺・大腸・卵巣・乳腺などの腫瘍が筋炎の診断前後の時期に見つかることがあり、診断時には全身の腫瘍検索が行われます。もう一つ見落とせない合併症が間質性肺炎で、こちらは進行が速い型があり呼吸状態を左右します。柔道整復の現場で、原因のはっきりしない左右対称の筋力低下と特徴的な皮疹に出会ったら、施術で様子をみるのではなく速やかに医療機関へつなぐ判断が求められます。
| 疾患 | 皮膚所見 | 主な訴え | CK(筋原性酵素) | 注意すべき合併症 |
|---|---|---|---|---|
| 皮膚筋炎 | あり(ゴットロン徴候・ヘリオトロープ疹) | 近位筋の筋力低下 | 上昇 | 悪性腫瘍、間質性肺炎 |
| 多発筋炎 | なし | 近位筋の筋力低下 | 上昇 | 間質性肺炎(腫瘍合併は皮膚筋炎ほど目立たない) |
| リウマチ性多発筋痛症 | なし | 肩・腰まわりの痛みとこわばり(筋力低下は目立たない) | 正常 | 巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎) |
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