学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §21 臨床実地問題 / QJ33P044

理由で解く 柔道整復師

QJ33P044 一般臨床医学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問44
問題
40歳の男性。40.3℃の発熱、強い呼吸困難、右胸の痛みと咳を訴えて来院した。5日前から感冒症状があり、発熱とのどの痛み、咳、痰が続いている。尿検査で肺炎球菌抗原陽性であった。低値を示すのはどれか。
選択肢
1 赤沈
2 呼吸数
3 末梢血好中球数
4 血中酸素飽和度
解答
正解4(血中酸素飽和度)
解説

尿中肺炎球菌抗原が陽性で、高熱と強い呼吸困難を伴う肺炎球菌性肺炎の症例です。炎症で上昇する項目が並ぶなか、ガス交換障害によって低下するのは血中酸素飽和度なので、正答は4です。

肺炎球菌性肺炎では、肺胞腔に好中球と滲出液がびっしり詰まる肺胞性(大葉性)肺炎の像をとります。空気が入るはずの肺胞が液体で満たされると、血流はあるのに換気がない領域が生じ、この換気血流不均衡によって酸素の取り込みが妨げられ、動脈血酸素飽和度が低下します。一方、低酸素血症・発熱・炎症性サイトカインは呼吸中枢を刺激するため呼吸数はむしろ増え、細菌感染に対する反応として末梢血の好中球が増加し、フィブリノゲンなどの急性期蛋白が増えることで赤沈は亢進します。本症例の40.3℃の高熱、強い呼吸困難、そして胸膜に炎症が及んだことを示す右胸痛は、いずれも重症を疑わせる所見です。

✗ 1. 誤り
赤沈
炎症によってフィブリノゲンやγグロブリンが増えると、赤血球が連銭形成を起こして沈みやすくなるため、赤沈は亢進(高値)します。CRPとともに炎症の程度を反映する古典的な指標で、肺炎では上昇する側の項目です。
✗ 2. 誤り
呼吸数
低酸素血症・高熱・炎症性サイトカインが呼吸中枢を刺激するため、頻呼吸となって増加します。呼吸数は肺炎の重症度判定でも重視される項目で、成人で30回/分以上は重症を示すサインとされます。
✗ 3. 誤り
末梢血好中球数
細菌感染では骨髄から好中球が動員され、白血球数・好中球数が増加し、幼若な桿状核球が増える核左方移動を伴います。極めて重篤な敗血症などでは逆に減少することもありますが、典型的な肺炎球菌性肺炎の経過では高値を示します。
✓ 4. 正しい
血中酸素飽和度
肺胞が滲出液で満たされてガス交換の場が失われ、換気血流不均衡によって酸素化が悪化するため低下します。本症例の強い呼吸困難という訴えとも一致する所見で、パルスオキシメータですぐに確認できます。低値であれば酸素投与と入院治療を要する状態なので、施術の適応外と判断し、直ちに医療機関での対応につなぎます。
ポイント
  • 肺炎球菌性肺炎は肺胞性(大葉性)肺炎の代表。尿中肺炎球菌抗原検査は迅速に起因菌を推定できる。
  • 炎症で上がるもの:白血球・好中球数、CRP、赤沈、体温、脈拍、呼吸数。
  • 下がるもの:血中酸素飽和度(SpO2)とPaO2。ガス交換の場である肺胞が滲出液でつぶれるため。
  • 胸膜に炎症が及ぶと、深呼吸や咳で増悪する限局性の胸痛(胸膜痛)が出る。本症例の右胸痛がこれにあたる。
  • 高熱+強い呼吸困難+頻呼吸は重症のサイン。速やかに医療機関受診・救急要請につなぎ、経過を記録に残す。
比較表
方向項目理由
高値になる赤沈フィブリノゲン・γグロブリン増加で連銭形成が進む
高値になる末梢血好中球数・白血球数細菌感染への反応で骨髄から動員され、核左方移動を伴う
高値になる呼吸数・脈拍・体温・CRP低酸素と炎症反応による全身の代償と急性期反応
低値になる血中酸素飽和度(SpO2)・PaO2肺胞が滲出液で満たされ、換気血流不均衡でガス交換が破綻する
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