学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §21 臨床実地問題 / QJ33P045

理由で解く 柔道整復師

QJ33P045 一般臨床医学

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午後 問45
問題
70歳の男性。30分前から続く激しい胸の痛みと冷や汗を訴えている。2週前から歩くときに胸の痛みを感じたが、休むと治るので放置していた。高血圧症、糖尿病、脂質異常症にて近医に通院中である。喫煙歴がある。皮膚に異常はない。疑われるのはどれか。
選択肢
1 胆嚢炎
2 心筋梗塞
3 帯状疱疹
4 尿路結石
解答
正解2(心筋梗塞)
解説

30分以上続く激しい胸痛と冷や汗、2週前からの労作性胸痛、そろった冠危険因子。急性心筋梗塞を第一に疑う。

「歩くと胸が痛み、休むと治る」は労作性狭心症の典型で、冠動脈の狭窄により心筋の酸素需要に供給が追いつかない状態を示す。これが2週前から現れ、今回30分以上持続する強い痛みに変わったという経過は、冠動脈のプラークが破綻して血栓が形成され、血流が途絶した急性心筋梗塞を示唆する。狭心症の胸痛が数分でおさまるのに対し、心筋梗塞は20〜30分以上持続し、安静やニトログリセリンでも軽快しにくい。冷や汗・悪心・嘔吐は自律神経反射による随伴症状で、重症のサインである。高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙・年齢という冠危険因子がそろっている点も裏づけになる。左肩・頸部・下顎への放散痛として現れることがあり、肩の痛みを主訴に来所する可能性もあるため、冷や汗を伴う突然の症状では施術を行わず、直ちに救急要請して医療機関へつなぐ。

✓ 2. 正しい
心筋梗塞
先行する労作性狭心症、30分持続する激しい胸痛、冷や汗、複数の冠危険因子という組合せが典型的。発症直後は致死性不整脈のリスクが高く、時間が心筋の生死を分けるため、疑った時点で救急要請する。
✗ 1. 誤り
胆嚢炎
脂肪の多い食後に始まる右季肋部痛が典型で、発熱、マーフィー徴候、右肩への放散痛を伴う。労作で誘発される経過や冠危険因子との関連はない。
✗ 3. 誤り
帯状疱疹
神経支配領域に沿った片側性の痛みに続き、紅斑と小水疱が帯状に出現する。設問に「皮膚に異常はない」と明記されており、合致しない。
✗ 4. 誤り
尿路結石
側腹部から背部・鼠径部にかけての激しい疝痛と血尿、肋骨脊柱角の叩打痛が特徴。痛みが波のように強弱する点も異なり、胸部痛としては現れにくい。
ポイント
  • 狭心症は数分で軽快、心筋梗塞は20〜30分以上持続しニトロも効きにくい。
  • 労作性胸痛が最近悪化・安静時にも出る=不安定な状態で、梗塞の前触れ。
  • 冷や汗・悪心・嘔吐・顔面蒼白は重症の随伴症状。
  • 冠危険因子:高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、加齢、家族歴。
  • 左肩・頸部・下顎の放散痛として来所することがある。疑えば施術せず救急要請。
比較表
疾患痛みの部位・性状決め手となる所見
心筋梗塞前胸部の締めつけ、30分以上持続冷や汗、労作性狭心症の先行、冠危険因子
胆嚢炎右季肋部、脂肪食後発熱、マーフィー徴候
帯状疱疹片側の神経走行に沿う紅斑・水疱(本例は皮膚異常なし)
尿路結石側腹部〜背部の疝痛血尿、CVA叩打痛
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