学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §19 主要な疾患 神経系疾患 / QJ32P041

理由で解く 柔道整復師

QJ32P041 一般臨床医学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問41
問題
筋委縮性側索硬化症で現れるのはどれか。
選択肢
1 褥瘡
2 感覚障害
3 呼吸筋麻痺
4 直腸膀胱障害
解答
正解3(呼吸筋麻痺)
解説

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動ニューロンが選択的に障害される疾患で、進行すると呼吸筋が麻痺して呼吸不全に至る。よって正解は3。

ALSでは上位運動ニューロン(錐体路)と下位運動ニューロン(脊髄前角細胞・脳神経運動核)がともに変性する。そのため、筋萎縮・線維束収縮・脱力という下位ニューロン徴候と、腱反射亢進・病的反射陽性・痙縮という上位ニューロン徴候が同じ患者に同居するのが特徴である。下位ニューロン障害だけなら腱反射は低下するはずだが、ALSでは上位ニューロン障害を合併するため、萎縮してやせた筋に腱反射亢進が併存するという一見ちぐはぐな所見となる。これはALS最大の特徴で国家試験でも繰り返し問われる。上肢遠位の筋力低下や球麻痺(構音障害・嚥下障害)で発症することが多く、進行すると横隔膜・肋間筋を支配する運動ニューロンが侵されて呼吸筋麻痺となり、呼吸管理が経過を大きく左右する。一方で、眼球運動障害・膀胱直腸障害・感覚障害・褥瘡は起こりにくく、これらは「陰性4徴候」と呼ばれる(知能も原則保たれる)。ただし人工呼吸器管理などで長期に経過した場合には、これらの症状が現れることもある。ケアでは、コミュニケーション手段の確保、栄養と嚥下の管理、呼吸機能の定期評価を計画的に進める。

✓ 3. 正しい
呼吸筋麻痺
横隔膜・肋間筋を支配する運動ニューロンが障害され、換気が保てなくなって呼吸不全に至る。ALSの経過と予後を決める最も重要な症状である。
✗ 1. 誤り
褥瘡
陰性4徴候の一つ。皮膚の血流や膠原線維が保たれるため、寝たきりになっても褥瘡はできにくいとされる。ただし体位変換や除圧などの予防的ケアは行う。
✗ 2. 誤り
感覚障害
陰性4徴候の一つ。障害されるのは運動ニューロンであり感覚路は保たれるため、しびれや感覚低下は原則としてみられない。
✗ 4. 誤り
直腸膀胱障害
陰性4徴候の一つ。排尿・排便に関わる神経(オヌフ核など)は比較的保たれるため、進行しても膀胱直腸障害は起こりにくい。
ポイント
  • ALS=上位+下位運動ニューロンがともに障害される(両者の徴候が同居)
  • 下位徴候=筋萎縮、線維束収縮、脱力/上位徴候=腱反射亢進、病的反射、痙縮
  • 萎縮した筋に腱反射亢進が併存するのがALS最大の特徴(上位障害の合併のため腱反射は低下せず亢進する)
  • 陰性4徴候=眼球運動障害・膀胱直腸障害・感覚障害・褥瘡(起こりにくい)
  • 球麻痺による構音障害・嚥下障害を伴い、最終的に呼吸筋麻痺に至る
  • 知能は原則保たれる。コミュニケーション手段の確保が重要
比較表
分類内容意味
下位運動ニューロン徴候筋萎縮、線維束収縮、筋力低下(一般には腱反射低下を伴うが、ALSでは上位ニューロン障害の合併により腱反射はむしろ亢進する)脊髄前角細胞・脳神経運動核の障害
上位運動ニューロン徴候腱反射亢進、病的反射陽性、痙縮錐体路の障害
球麻痺症状構音障害、嚥下障害脳神経運動核の障害
陰性4徴候眼球運動障害、膀胱直腸障害、感覚障害、褥瘡原則みられない(長期経過例では例外あり)
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