学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §4 頭・頸部、四肢と体幹の運動(筋の作用および神経支配を含む) / QJ32A111

理由で解く 柔道整復師

QJ32A111 運動学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問111
問題
正常吸気に関与するのはどれか。
選択肢
1 肋骨挙筋
2 胸横筋
3 横隔膜
4 腹横筋
解答
正解3(横隔膜)
解説

安静時の正常吸気を担う主動筋は横隔膜である。外肋間筋がこれを補い、換気量の約7割は横隔膜の働きによる。

吸気は能動的な運動で、横隔膜が収縮して腱中心が下がることで胸腔が上下方向に広がり、外肋間筋が肋骨を挙上することで前後・左右にも広がる。その結果、胸腔内圧が陰圧になり空気が肺へ流入する。一方、安静呼気は筋の収縮を必要とせず、肺と胸郭の弾性による受動的な復元で起こる。呼吸筋が問われたら、まず「安静か努力か」「吸気か呼気か」の2軸で分類することが答えを外さないコツである。努力吸気では胸鎖乳突筋・斜角筋・大胸筋・小胸筋・前鋸筋・肋骨挙筋などの補助吸気筋が加わり、努力呼気では内肋間筋・胸横筋・腹筋群(腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋)が動員される。

✓ 3. 正しい
横隔膜
横隔神経(C3〜C5)に支配される安静吸気の主動筋。収縮すると腱中心が下降して胸腔が縦に拡大し、同時に腹腔内圧が上がって腹部が膨らむ(腹式呼吸)。
✗ 1. 誤り
肋骨挙筋
横突起から下位の肋骨へ向かい肋骨を挙上するので働きの向きは吸気側だが、動員されるのは努力吸気のときであり、安静時の正常吸気を担う筋には数えない。補助吸気筋として整理しておくとよい。
✗ 2. 誤り
胸横筋
胸骨の後面から第2〜6肋軟骨へ広がり、肋軟骨を引き下げる呼気筋である。吸気とは逆向きに働く。
✗ 4. 誤り
腹横筋
腹壁を輪状に取り巻き、収縮すると腹圧を高めて横隔膜を押し上げる努力呼気筋。咳嗽や強制呼出で強く働き、体幹の安定化にも関与する。
ポイント
  • 安静吸気筋:横隔膜(主役、換気量の約70%)+外肋間筋。安静呼気は筋を使わず受動的に起こる。
  • 努力吸気の補助筋:胸鎖乳突筋、斜角筋、大胸筋、小胸筋、前鋸筋、僧帽筋、肋骨挙筋、上後鋸筋。
  • 努力呼気筋:内肋間筋、胸横筋、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋、下後鋸筋。
  • 横隔膜の支配は横隔神経(C3〜C5)。頸髄C4より上位の損傷では自発呼吸が困難になるため、髄節レベルとセットで覚える。
  • 迷ったら「その筋が収縮すると肋骨・横隔膜はどちらへ動くか」を確かめる。肋骨を挙げる=吸気、引き下げる=呼気。
比較表
吸気呼気
安静時横隔膜・外肋間筋筋活動なし(肺・胸郭の弾性による受動的復元)
努力時胸鎖乳突筋・斜角筋・大胸筋・小胸筋・前鋸筋・肋骨挙筋内肋間筋・胸横筋・腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋
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