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理由で解く 柔道整復師

QJ32A088 生理学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問88
問題
甲状腺ホルモンの作用で低下するのはどれか。
選択肢
1 心拍数
2 熱産生
3 酸素消費量
4 血中コレステロール値
解答
正解4(血中コレステロール値)
解説

甲状腺ホルモンは全身の代謝を底上げするホルモンで、熱産生・酸素消費量・心拍数はいずれも増加する。低下するのは血中コレステロール値である。

甲状腺ホルモン(T₃・T₄)は核内受容体に結合して遺伝子転写を調節し、基礎代謝率を高める。Na⁺-K⁺ポンプの活性化などを通じてATP消費と熱産生が増え、それを支えるため酸素消費量も上がる。心臓ではβ₁受容体の発現が増してカテコールアミンへの感受性が高まり、心拍数・心収縮力が増加する。脂質代謝では肝細胞のLDL受容体が増えるため血中LDLの取り込みとコレステロール異化(胆汁酸への変換)が進み、血中コレステロール値は下がる。裏返しに、甲状腺機能低下症では代謝低下・徐脈・寒がりとともに高コレステロール血症が現れる。臨床像とセットで覚えると取り違えにくい。

✓ 4. 正しい
血中コレステロール値
甲状腺ホルモンは肝のLDL受容体を増やしてコレステロールの取り込みと胆汁酸への異化を促すため、血中コレステロール値は低下する。機能低下症で高コレステロール血症になるのはこの裏返しである。
✗ 1. 該当しない
心拍数
甲状腺ホルモンは心筋のβ₁受容体発現を増やしカテコールアミン感受性を高めるため、心拍数は増加する。機能亢進症では頻脈・動悸がみられる。
✗ 2. 該当しない
熱産生
代謝亢進に伴いATP消費と発熱が増えるため、熱産生は増加する。機能亢進症で暑がり・発汗過多になるのはこのためである。
✗ 3. 該当しない
酸素消費量
基礎代謝率が上がれば酸化的リン酸化も盛んになるので、酸素消費量は増加する。甲状腺ホルモンの作用を測る指標として基礎代謝率が用いられてきたのもこの性質による。
ポイント
  • 甲状腺ホルモンの基本作用は基礎代謝の亢進。熱産生・酸素消費量・心拍数はすべて増加。
  • 血中コレステロールは低下(肝LDL受容体増加+胆汁酸への異化促進)。
  • 機能亢進症(バセドウ病など):頻脈・体重減少・暑がり・低コレステロール。
  • 機能低下症:徐脈・体重増加・寒がり・高コレステロール血症
  • 核内受容体を介して働く脂溶性ホルモンであり、作用の発現は緩やかで持続的。
比較表
項目甲状腺ホルモン過剰(亢進症)不足(低下症)
基礎代謝率上昇低下
熱産生・体温感覚増加・暑がり減少・寒がり
酸素消費量増加減少
心拍数増加(頻脈)減少(徐脈)
血中コレステロール低下上昇
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