学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 解剖学 ▸ §9 神経系 / QJ32A076
理由で解く 柔道整復師
猿手を起こすのは正中神経の障害です。母指球筋が萎縮して母指の対立ができなくなり、手が平たくサルの手のように見えます。
正中神経は母指球筋のうち短母指外転筋・母指対立筋・短母指屈筋浅頭と、第1・第2虫様筋を支配します。麻痺すると母指球が痩せて母指が手掌と同じ平面に落ち込み、他指と向かい合わせる対立運動ができなくなります。これが猿手(ape hand)です。手根管症候群のように手関節部で圧迫されても起こり、この場合は母指から環指橈側にかけての知覚障害を伴います。前腕近位での高位麻痺では長母指屈筋と深指屈筋の橈側半も麻痺するため、母指と示指できれいな輪をつくれない「涙のしずくサイン(ティアドロップサイン)」が加わります。上肢の神経麻痺は「猿手=正中、鷲手=尺骨、下垂手=橈骨」と変形名で対にして覚え、実際の評価では変形の観察と知覚領域の確認を組み合わせて障害神経を絞り込みましょう。
| 神経 | 特徴的な変形 | 主な麻痺筋 | 知覚障害の部位 |
|---|---|---|---|
| 正中神経 | 猿手 | 母指球筋(短母指外転筋・母指対立筋ほか)、前腕屈筋群の大部分 | 手掌橈側〜母指・示指・中指・環指橈側 |
| 尺骨神経 | 鷲手 | 骨間筋、第3・4虫様筋、小指球筋、母指内転筋 | 手の尺側、小指と環指尺側 |
| 橈骨神経 | 下垂手 | 上腕三頭筋、前腕伸筋群 | 上腕・前腕後面、手背橈側(第1・2指間背側) |
| 腋窩神経 | (手の変形なし) | 三角筋、小円筋 | 肩外側 |
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