学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §2 医療過誤とリスクマネジメント / QJ32A039

理由で解く 柔道整復師

QJ32A039 必修問題

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問39
問題
医療におけるリスクマネジメントで正しいのはどれか。
選択肢
1 間違いを起こさない前提で医療を行う。
2 医療従事者の過誤がなければ問題にしない。
3 患者や家族からの訴えがなければ検討しない。
4 患者に被害が及ばない事例も含む。
解答
正解4(患者に被害が及ばない事例も含む。)
解説

医療のリスクマネジメントは「人は誤りうる」ことを前提に、事故に至らなかった事例まで含めて情報を集め、仕組みを直していく活動です。したがって患者に被害が及ばない事例も対象に含みます

被害が生じなかった事例(ヒヤリ・ハット=インシデント)は、実害が出た事例と同じ背景要因を共有していることが多く、数も多いため、原因分析の材料として非常に価値があります。これを集めるには、報告した人が責められない環境をつくることが不可欠で、個人の注意力を責める方向ではなく、手順・表示・確認方法といった仕組みの側を変えることが再発防止につながります。また、患者や家族からの申し出を待つのではなく、日常業務のなかで気づいた事例を自ら報告・共有し、分析して改善策を実行し、その効果を確認するというサイクルを回すことが求められます。柔道整復の施術所でも、患者の取り違え、既往歴の聞き漏らし、固定による圧迫や循環障害の見落としなど、身近な事例から記録と共有を始めることができます。

✓ 4. 正しい
患者に被害が及ばない事例も含む。
ヒヤリ・ハット(インシデント)は実害のある事故と背景要因を共有し、件数も多いため分析価値が高い情報です。被害が出る前に仕組みを直せる貴重な機会として、積極的に収集・共有します。
✗ 1. 誤り
間違いを起こさない前提で医療を行う。
人は誰でも誤りうるという前提に立ち、誤りが起きても患者に届かないよう二重確認や表示の工夫といった仕組みを設計するのがリスクマネジメントの基本です。無謬を前提にすると、対策が個人の注意喚起で止まってしまいます。
✗ 2. 誤り
医療従事者の過誤がなければ問題にしない。
過誤の有無にかかわらず、患者に不利益が生じうる出来事はすべて検討の対象です。設備・手順・情報伝達など、個人の過失以外に潜む要因を見つけ出すことが目的だからです。
✗ 3. 誤り
患者や家族からの訴えがなければ検討しない。
訴えを待つのは受け身であり、予防になりません。日常業務のなかで気づいた事例を自ら報告し、分析して改善策を実行し、効果を確認するサイクルを回します。
ポイント
  • 前提は「人は誤りうる」。個人の注意力ではなく仕組みを改善する。
  • インシデント(ヒヤリ・ハット)=患者に被害が及ばなかった事例も収集・分析の対象。
  • アクシデント=実害が生じた事例。過誤の有無にかかわらず検討する。
  • 報告者を責めない環境づくりが、情報を集めるための前提条件。
  • 報告→分析→改善策の実行→効果確認、というサイクルを日常業務に組み込む。
比較表
用語意味扱い
インシデント(ヒヤリ・ハット)患者に被害が及ばなかった出来事報告・分析の対象。予防の手がかり
アクシデント実際に患者に不利益が生じた出来事報告・分析に加え、誠実な説明と対応
医療過誤過失により被害が生じた場合アクシデントの一部。責任の検討を伴う
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