学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §27 膝関節十字靱帯損傷の診察 / QJ32A029

理由で解く 柔道整復師

QJ32A029 必修問題

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問29
問題
前十字靱帯損傷で正しいのはどれか。
選択肢
1 非接触型の運動では単独損傷が多い。
2 腫脹は軽度なことが多い。
3 早期に観血療法を行う。
4 サギングがみられる。
解答
正解1(非接触型の運動では単独損傷が多い。)
解説

前十字靱帯(ACL)損傷は、ジャンプ着地や急な方向転換など非接触型で受傷することが多く、その場合はACL単独損傷となる例が多くみられます。

非接触型では、膝軽度屈曲・外反・下腿外旋という肢位で脛骨が前方へずれ、ACLだけに張力が集中するため単独損傷になりやすくなります。一方、相手と接触して外側から強い外力を受けた場合は、MCLや内側半月板を巻き込む複合損傷になりやすいという違いがあります。ACLは関節内を走り血流に富む靱帯周囲組織を伴うため、断裂すると関節血症を生じ、受傷後まもなく膝が腫れて熱感を伴います。急性期はまず炎症の鎮静と可動域の回復を図り、手術(靱帯再建術)は腫脹と可動域が改善してから計画するのが一般的です。

✓ 1. 正しい
非接触型の運動では単独損傷が多い。
着地や切り返しで脛骨が前方へずれる力がACLに集中するため、他の靱帯を巻き込まない単独損傷になりやすくなります。接触型では複合損傷の割合が高まります。
✗ 2. 誤り
腫脹は軽度なことが多い。
ACLは関節内靱帯で、断裂すると関節内に出血して関節血症となるため、受傷後数時間で著明な腫脹をきたします。むしろ急な膝の腫脹はACL損傷を疑う重要な手がかりです。
✗ 3. 誤り
早期に観血療法を行う。
腫脹と可動域制限が強い急性期に手術を行うと、関節が硬くなりやすいことが知られています。まず炎症を鎮め可動域と筋力を戻してから再建術に進むのが一般的な流れです。
✗ 4. 誤り
サギングがみられる。
サギング(背臥位で膝を屈曲したとき脛骨が後方へ落ち込む所見)は後十字靱帯損傷の徴候です。ACL損傷では脛骨が前方へずれる所見(前方引き出し、ラックマン、Nテスト)を確認します。
ポイント
  • 非接触型(着地・切り返し)=ACL単独損傷が多い。接触型=複合損傷が多い。
  • 関節内靱帯のため関節血症を生じ、急激で著明な腫脹をきたす。
  • 徒手検査はラックマンテスト、前方引き出しテスト、Nテスト(ピボットシフト)。
  • サギングは後十字靱帯損傷の所見。前方か後方かで靱帯を判別する。
  • 手術は急性期を過ぎ、腫脹軽減・可動域回復後に計画するのが一般的。
比較表
項目前十字靱帯損傷後十字靱帯損傷
受傷機転着地・切り返し(非接触が多い)脛骨前面の打撲(ダッシュボード損傷など)
脛骨のずれ前方後方
特徴的所見関節血症、ラックマン陽性サギングサイン、後方引き出し陽性
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