学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §27 膝関節十字靱帯損傷の診察 / QJ31A029

理由で解く 柔道整復師

QJ31A029 必修問題

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問29
問題
回旋不安定性を評価するのはどれか。
選択肢
1 ワトソン・ジョーンズテスト
2 ラックマンテスト
3 サギング
4 Nテスト
解答
正解4(Nテスト)
解説

Nテストは、膝屈曲位から伸展していく過程で脛骨が前外方へ亜脱臼する現象をとらえる検査で、前外側回旋不安定性を評価します。他の3つは前方または後方という直線方向の不安定性をみる検査です。

膝の不安定性は、前後・内外側といった直線方向のものと、回旋を伴うものに分けて整理します。前十字靱帯が損なわれると、脛骨は前方へ移動するだけでなく前外方へ回旋しながら亜脱臼します。Nテストは背臥位で、膝屈曲位から外反と内旋を加えながら伸展していき、屈曲20〜30度付近で脛骨が前外方へ亜脱臼する「ガクッ」とした動きを触知する検査で、ジャークテストと同型の操作です。これに対しピボットシフトテストは逆向きに、伸展位から外反・内旋を加えつつ屈曲していき、同じ屈曲20〜30度付近で亜脱臼が整復されるガクッを触知します。操作の向き(屈曲位から伸展していく/伸展位から屈曲していく)と、そこで観察される現象(亜脱臼/整復)は対になっているので、必ずセットで覚えて取り違えないようにします。いずれも同じ前外側回旋不安定性という現象を、逆方向からとらえたものです。

✓ 4. 正しい
Nテスト
背臥位で膝屈曲位から外反と内旋を加えながら伸展していき、屈曲20〜30度付近で脛骨が前外方へ亜脱臼するのを触知する検査です(ジャークテストと同型)。前外側回旋不安定性を示し、前十字靱帯損傷の評価に用いられます。
✗ 1. 誤り
ワトソン・ジョーンズテスト
膝伸展位で下腿を持ち上げ、脛骨が前方へ突出するかをみる検査です。前十字靱帯損傷による前方不安定性を評価するもので、回旋の評価ではありません。
✗ 2. 誤り
ラックマンテスト
膝を20〜30度屈曲位に保ち、脛骨を前方へ引き出す検査です。前十字靱帯損傷の感度が高い検査ですが、みているのは前方への直線的な移動量です。
✗ 3. 誤り
サギング
背臥位で股関節・膝関節を屈曲させたとき、脛骨粗面が重力で後方へ落ち込む所見です。後十字靱帯損傷による後方不安定性を示します。
ポイント
  • 前外側回旋不安定性をみるのはNテスト・ジャークテスト・ピボットシフトテストの一群。
  • Nテスト/ジャークテストは屈曲位から伸展していき「亜脱臼」を触知する。ピボットシフトテストは伸展位から屈曲していき「整復」を触知する。いずれも屈曲20〜30度付近で起こる。
  • ラックマンテスト・前方引き出しテスト・ワトソン・ジョーンズテストは前方(直線方向)の不安定性。
  • サギング(サグサイン)・後方引き出しテストは後方不安定性で後十字靱帯損傷を示す。
  • 前十字靱帯損傷では、前方移動と前外方への回旋亜脱臼が同時に起こる点を機序で理解する。
  • 不安定性を認めた場合は、健側と比較して記録し、画像評価のため医師へ紹介する。
比較表
テスト・所見操作の向き触知する現象不安定性の方向
Nテスト(=ジャークテストと同型)屈曲位から外反・内旋を加えつつ伸展していく屈曲20〜30度で脛骨が前外方へ亜脱臼前外側回旋
ピボットシフトテスト伸展位から外反・内旋を加えつつ屈曲していく屈曲20〜30度で亜脱臼が整復される前外側回旋
ラックマンテスト20〜30度屈曲位で脛骨を前方へ引き出す前方への移動量の増大前方
ワトソン・ジョーンズテスト膝伸展位で下腿を持ち上げる脛骨の前方突出前方
サギング股・膝を屈曲させて側方から観察脛骨粗面が後方へ落ち込む後方
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