学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §19 肘関節後方脱臼の診察および整復 / QJ32A020

理由で解く 柔道整復師

QJ32A020 必修問題

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問20
問題
肘関節後方脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 ヒューター三角は正常である。
2 上腕三頭筋腱を索状に触知できる。
3 肘関節は伸展位で固定されている。
4 上腕骨遠位端は後方に突出している。
解答
正解2(上腕三頭筋腱を索状に触知できる。)
解説

肘関節後方脱臼では前腕骨が後上方へ移動するため、肘頭に付く上腕三頭筋腱が引き伸ばされて緊張し、皮下にロープのような索状物として触知できます。

肘関節後方脱臼は、肘を伸展位に近い状態で手をついたときに、尺骨・橈骨が上腕骨滑車に対して後方へ押し出されて起こります。前腕骨が後上方に転位するので、肘頭は後方へ突出し、上腕骨遠位端は逆に前方へ突出して肘窩部が膨隆します。同時に上腕三頭筋腱が引き伸ばされ、索状に触れるようになります。肢位は約30〜40度の屈曲位での弾発性固定となり、他動的に動かそうとしても抵抗があってすぐ元に戻ります。肘頭と内側・外側上顆でつくるヒューター三角は、肘頭だけが後上方へずれるため崩れます。ここは上腕骨顆上骨折との重要な鑑別点で、顆上骨折では骨折線が三角より近位にあるため三角は保たれます。正中神経・尺骨神経や上腕動脈の損傷を伴うことがあるので、整復の前後で橈骨動脈の拍動と手指の感覚・運動を必ず確認して記録します。

✓ 2. 正しい
上腕三頭筋腱を索状に触知できる。
肘頭が後上方へ転位すると、そこに停止する上腕三頭筋腱が引き伸ばされて張ります。緊張した腱が皮下に浮き上がるため、ロープのような硬い索状物として触知できます。後方脱臼に特徴的な触診所見です。
✗ 1. 誤り
ヒューター三角は正常である。
肘頭だけが後上方へずれるため、肘頭と内側・外側上顆でつくる三角の位置関係は崩れます。三角が保たれるのは上腕骨顆上骨折のほうで、両者の鑑別点が逆になっています。
✗ 3. 誤り
肘関節は伸展位で固定されている。
後方脱臼の肢位は約30〜40度の屈曲位で、他動運動に抵抗があってすぐ戻る弾発性固定を示します。伸展位で固定されるわけではありません。
✗ 4. 誤り
上腕骨遠位端は後方に突出している。
前腕骨が後方へ移動する結果、後方に突出するのは肘頭であり、上腕骨遠位端は相対的に前方へ突出して肘窩部が膨隆します。前後が逆です。「前腕が後ろへずれる=上腕は相対的に前へ」と押さえておいてください。
ポイント
  • 肘関節後方脱臼=前腕骨が後上方へ転位。肘頭は後方突出、上腕骨遠位端は前方突出
  • 引き伸ばされた上腕三頭筋腱をロープ状の索状物として触知できるのが特徴的な触診所見。
  • 肢位は約30〜40度屈曲位での弾発性固定。伸展位で固まるのではない。
  • ヒューター三角は崩れる。保たれる上腕骨顆上骨折との鑑別に必ず使う。
  • 神経・血管損傷を伴いうるため、整復の前後で橈骨動脈の拍動と手指の感覚・運動を確認して記録する。
比較表
肘関節後方脱臼上腕骨顆上骨折(伸展型)
ヒューター三角崩れる保たれる
肘頭の位置後方へ突出後方へ突出して見えるが三角は正常
肢位約30〜40度屈曲位で弾発性固定弾発性固定はない
異常可動性・軋轢音なしあり
上腕三頭筋腱緊張し索状に触知特徴的でない
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