学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §13 第5中手骨頸部骨折の固定 / QJ32A014

理由で解く 柔道整復師

QJ32A014 必修問題

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問14
問題
第5中手骨頸部骨折で固定する関節と固定角度の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 手関節軽度屈曲位
2 MP 関節・90 度屈曲位
3 PIP 関節完全伸展位
4 DIP 関節軽度屈曲位
解答
正解4(DIP 関節軽度屈曲位)
解説

手を長期間固定するときは、固定を解いたあとの機能が最も残りやすい良肢位(機能肢位)に置きます。DIP関節は軽度屈曲位が正解で、手関節掌屈位・PIP完全伸展位・MP関節90度の深屈曲は避けます。

手の固定の基本は良肢位(機能肢位)です。手関節は軽度背屈位、MP関節は屈曲位、PIP・DIP関節は軽度屈曲位とします。この肢位が選ばれるのは、固定を解いたときにそのままの角度でも物を握れる、つまり日常の把持動作にすぐつながるからです。IP関節(PIP・DIP)を軽度屈曲位とする理由も、側副靱帯の緊張ではなく、この把持機能を保つためだと理解してください(IP関節の側副靱帯はむしろ伸展位で最も緊張し、屈曲位で長期に固定すると掌側板が短縮して屈曲拘縮を生じます)。一方、MP関節の側副靱帯はカム機構によって屈曲位で最も伸張されるため、MP関節を屈曲位で固定することは靱帯の短縮予防という点でも理にかなっています。なお、靱帯の拘縮予防を最優先にした肢位は安全肢位(intrinsic plus position)と呼ばれ、手関節背屈20〜30度・MP関節屈曲70〜90度・IP関節は伸展位(0〜10度)とされます。IP関節の扱いが本問の良肢位とは異なるので、両者は別概念として区別しておきましょう。第5中手骨頸部骨折(いわゆるボクサー骨折)では遠位骨片が掌側へ屈曲転位するため、MP関節を屈曲させ基節骨を介して骨頭を背側へ押し戻す形で保持します。ただし90度まで深く屈曲させると背側の皮膚・軟部組織が過度に緊張し、圧迫による皮膚障害や関節拘縮を招くため、実際にはおよそ60〜70度の屈曲位にとどめます。固定後は指の回旋変形(爪の向きがそろっているか、屈曲させたとき指が交差しないか)を確認し、ずれていれば固定をやり直します。

✓ 4. 正しい
DIP 関節軽度屈曲位
良肢位(機能肢位)ではIP関節(PIP・DIP)を軽度屈曲位に置きます。固定を解いたときにそのまま把持動作へ移れる角度であり、選択肢の中で唯一この原則に合致します。
✗ 1. 誤り
手関節軽度屈曲位
手関節は軽度背屈位が良肢位です(安全肢位でも手関節は背屈位)。掌屈位で固定すると手内在筋と外在筋の張力バランスが崩れ、握り動作の回復が遅れます。
✗ 2. 誤り
MP 関節・90 度屈曲位
MP関節を屈曲位にする方向性は正しいものの、90度は深すぎます。背側の軟部組織が過度に緊張して圧迫障害や拘縮を招くため、およそ60〜70度屈曲位にとどめます。
✗ 3. 誤り
PIP 関節完全伸展位
完全伸展位はPIP関節の良肢位(機能肢位)から外れ、そのまま固まると指を曲げて物を握る動作の回復に不利です。PIP関節も軽度屈曲位とします。
ポイント
  • 手の長期固定の基本は良肢位(機能肢位)=手関節軽度背屈・MP関節屈曲・PIP/DIP関節軽度屈曲。
  • IP関節を軽度屈曲位にする理由は把持動作に必要な機能肢位を保つため(側副靱帯の緊張が理由ではない)。IP関節の側副靱帯は伸展位で最も緊張する。
  • 安全肢位(intrinsic plus position)は別概念:手関節背屈20〜30度・MP屈曲70〜90度・IP関節は伸展位(0〜10度)
  • MP関節の側副靱帯はカム機構により屈曲位で最も伸張されるので、MP屈曲位固定は靱帯短縮の予防にもなる。
  • 第5中手骨頸部骨折は遠位骨片が掌側へ屈曲転位。MP関節屈曲位で基節骨を介して骨頭を押し戻す(60〜70度程度まで。90度の深屈曲は皮膚障害・拘縮のもと)。
  • 固定後は爪の向きで回旋変形がないかを確認する。
比較表
部位良肢位(機能肢位)での固定の目安避けたい肢位
手関節軽度背屈位掌屈位
MP関節屈曲位(およそ60〜70度)伸展位/90度の深屈曲
PIP関節軽度屈曲位完全伸展位
DIP関節軽度屈曲位過伸展位
(参考)安全肢位=intrinsic plus position手関節背屈20〜30度・MP関節屈曲70〜90度・IP関節は伸展位(0〜10度)。IP関節の扱いが良肢位と異なる別概念
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