学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §10 上腕骨骨幹部三角筋付着部より遠位骨折の固定 / QJ32A010

理由で解く 柔道整復師

QJ32A010 必修問題

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問10
問題
三角筋付着部より遠位の上腕骨骨幹部骨折の固定で正しいのはどれか。
選択肢
1 肩関節内旋位で固定する。
2 U字副子を使用する。
3 固定期間は3~5週とする。
4 初期安静期を過ぎると機能的装具の適用となる。
解答
正解4(初期安静期を過ぎると機能的装具の適用となる。)
解説

上腕骨骨幹部骨折では、初期の安静期を過ぎたら機能的装具(ファンクショナルブレース)に切り替え、隣接関節を動かしながら骨癒合を図るのが標準的です。

上腕骨骨幹部骨折の転位は、骨折線が三角筋付着部より近位か遠位かで正反対になります。三角筋付着部より遠位の骨折では、近位骨片が三角筋に引かれて外転(+軽度屈曲)し、遠位骨片は上腕二頭筋・上腕三頭筋に引かれて上方へ引き上げられます。整復・固定は「動かしにくい近位骨片に、遠位骨片を合わせにいく」のが原則なので、肩関節は軽度外転位とし、肘関節90度屈曲・前腕中間位で三角副子(ミッデルドルフ副子)などを用います。固定期間は成人でおおむね6〜8週。上腕骨は周囲を筋肉に囲まれて多少の転位は自家矯正されやすく、また長期の完全固定は肩・肘の拘縮を招くため、数週の初期安静期を過ぎたら機能的装具に移行し、肩と肘の運動を許しながら固定を続ける方法が広く行われています。橈骨神経は上腕骨中下1/3で骨に接して走るため、固定前後で手関節の背屈(下垂手の有無)と母指〜手背の感覚を必ず確認します。

✓ 4. 正しい
初期安静期を過ぎると機能的装具の適用となる。
数週の初期安静期で疼痛と腫脹が落ち着いたら、機能的装具(ファンクショナルブレース)に切り替えます。筒状の装具が軟部組織を介して骨折部を支えるため、肩・肘の運動を許しながら整復位を保て、拘縮を防ぎつつ骨癒合を進められます。
✗ 1. 誤り
肩関節内旋位で固定する。
三角筋付着部より遠位の骨折では近位骨片が外転位をとるため、これに遠位骨片を合わせるべく肩関節は軽度外転位で固定します。内旋位では骨片同士の向きが合いません。
✗ 2. 誤り
U字副子を使用する。
柔道整復の教材で上腕骨骨幹部骨折の固定材料として挙げられるのは三角副子(ミッデルドルフ副子)と機能的装具であり、U字副子は挙げられていません。本問はこの教材上の標準的な固定法を問う設問なので、選択肢としては誤りになります。
✗ 3. 誤り
固定期間は3~5週とする。
成人の上腕骨骨幹部骨折の固定期間はおおむね6〜8週です。3〜5週では短く、偽関節や再転位のリスクが高まります。
ポイント
  • 三角筋付着部より遠位の骨折:近位骨片は三角筋に引かれて外転、遠位骨片は上方へ。
  • 固定は近位骨片に合わせて肩軽度外転位、肘90度屈曲・前腕中間位。
  • 固定期間はおおむね6〜8週。教材で挙げられる副子は三角副子(ミッデルドルフ副子)。
  • 初期安静期の後は機能的装具へ移行し、肩・肘を動かしながら癒合を待つ。
  • 橈骨神経麻痺(下垂手、手背橈側の感覚障害)を固定前後で必ずチェックする。
比較表
骨折線の高さ近位骨片遠位骨片固定の考え方
三角筋付着部より近位大胸筋・広背筋・大円筋に引かれて内転三角筋に引かれて外上方遠位骨片に近位骨片を合わせる
三角筋付着部より遠位三角筋に引かれて外転・軽度屈曲上腕二頭筋・三頭筋に引かれて上方肩軽度外転位で保持し、遠位を近位に合わせる
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