学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §10 上腕骨骨幹部三角筋付着部より遠位骨折の固定 / QJ31A008

理由で解く 柔道整復師

QJ31A008 必修問題

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問8
問題
上腕骨骨幹部の三角筋付着部より遠位の骨折で転位に直接関与しないのはどれか。
選択肢
1 三角筋
2 上腕筋
3 上腕二頭筋
4 上腕三頭筋
解答
正解2(上腕筋)
解説

上腕筋は上腕骨骨幹の遠位前面から起こって尺骨粗面に停止する単関節筋で、上腕骨側の付着部は遠位骨片にあります。収縮しても肘が曲がるだけで骨片同士をずらす力にならないため、この骨折の転位に直接関与しません。

骨片がどちらへ動くかは、その筋の起始と停止が骨折線のどちら側にあるかで決まります。三角筋付着部(三角筋粗面)より遠位で折れた場合、三角筋は肩甲帯(鎖骨・肩峰・肩甲棘)から起こって近位骨片の三角筋粗面に停止するので、近位骨片を外上方へ引きます。烏口腕筋も同じ向きに働きます。これに対して上腕二頭筋と上腕三頭筋は肩甲骨から前腕(橈骨粗面・肘頭)へ走り、骨折線をまたいで遠位骨片を近位へ引き上げるので、短縮転位を生じます。上腕筋だけは力の作用が上腕骨と尺骨の間で完結するため、骨片の位置関係を変えません。なお上腕骨骨幹部の中〜遠位1/3の骨折では橈骨神経が骨に接して走るので、初検時に手関節・手指の背屈、母指の伸展、手背橈側の感覚を確かめ、麻痺を疑えば速やかに医師の診察につなぎます。

✓ 2. これが答え(転位に直接関与しない)
上腕筋
上腕骨骨幹の遠位前面から起こり、尺骨粗面に停止します。上腕骨側の付着部が遠位骨片にあり、しかも骨折線をまたいで別の骨片へ及ぶことがないので、収縮しても肘関節が屈曲するだけです。骨片を引き離したり引き上げたりする力にならないため、転位に直接関与しません。
✗ 1. 転位に関与する(答えではない)
三角筋
起始は鎖骨・肩峰・肩甲棘、停止は近位骨片にある三角筋粗面です。体幹側(肩甲帯)から近位骨片を引くので、近位骨片は外上方(外転方向)へ転位します。この骨折で近位骨片の向きを決める主役といえます。
✗ 3. 転位に関与する(答えではない)
上腕二頭筋
肩甲骨から起こり橈骨粗面に停止するため、骨折線をまたいで走ります。収縮すると遠位骨片を前腕ごと近位へ引き上げ、短縮転位の一因になります。
✗ 4. 転位に関与する(答えではない)
上腕三頭筋
長頭は肩甲骨の関節下結節から起こり、肘頭に停止して骨折線をまたぎます。上腕二頭筋とともに遠位骨片を上方へ引き上げるため、やはり短縮転位に働きます。
ポイント
  • 転位を考える手順は一つ。各筋の起始と停止が骨折線のどちら側にあるかを確かめる。
  • 三角筋粗面より遠位の骨折:近位骨片は三角筋・烏口腕筋で外上方、遠位骨片は上腕二頭筋・上腕三頭筋で上方(短縮転位)。
  • 三角筋粗面より近位(大胸筋停止部より遠位)の骨折:近位骨片は大胸筋・広背筋・大円筋で内方、遠位骨片は三角筋で外上方。高位で向きが逆転する。
  • 上腕筋は上腕骨遠位前面から尺骨粗面に至る単関節筋。肘を曲げるだけで、骨幹部の骨片はずらさない。
  • 骨幹部中〜遠位1/3の骨折では橈骨神経麻痺(下垂手)を毎回確認し、手関節背屈・母指伸展・手背橈側の感覚に異常があれば医師の診察につなぐ。
比較表
骨折の高位近位骨片を引く筋(転位方向)遠位骨片を引く筋(転位方向)
大胸筋停止部より近位棘上筋・棘下筋・小円筋(外転・外旋)大胸筋・広背筋・大円筋、三角筋(内上方)
大胸筋停止部〜三角筋粗面の間大胸筋・広背筋・大円筋(内方)三角筋・烏口腕筋(外上方)
三角筋粗面より遠位(本問)三角筋・烏口腕筋(外上方)上腕二頭筋・上腕三頭筋(上方=短縮転位)
上腕筋(参考)上腕骨遠位前面〜尺骨粗面の単関節筋。骨幹部の骨片をずらす作用はなく、肘の屈曲に働く
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