学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §10 上腕骨骨幹部三角筋付着部より遠位骨折の固定 / QJ30A012

理由で解く 柔道整復師

QJ30A012 必修問題

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問12
問題
三角筋付着部より遠位の上腕骨骨幹部骨折で、肩関節を固定する外転角度はどれか。
選択肢
1 120〜130度
2 70〜80度
3 10〜20度
4 0度
解答
正解2(70〜80度)
解説

三角筋付着部より遠位の上腕骨骨幹部骨折では、近位骨片が三角筋に引かれて外転するため、肩関節を70〜80度外転した位置で固定する。

上腕骨骨幹部骨折の転位方向は、三角筋粗面(三角筋付着部)を境に逆転する。付着部より近位で折れると、近位骨片は大胸筋・広背筋・大円筋に引かれて内転・内旋し、遠位骨片は三角筋によって外転・上方へ転位する。付着部より遠位で折れると、近位骨片は三角筋と烏口腕筋に引かれて外転(+軽度屈曲)し、遠位骨片は上腕三頭筋・上腕二頭筋の牽引で上方(短縮)に転位する。固定の原則は「動かせない近位骨片の向きに、遠位骨片を合わせる」ことなので、遠位骨折では肩関節外転70〜80度・軽度水平屈曲位で保持する。なお上腕骨骨幹部中下1/3の骨折では橈骨神経麻痺(下垂手)の合併に注意し、手関節・手指の伸展と手背橈側の感覚を必ず確認する。

✓ 2. 正しい
70〜80度
外転した近位骨片の軸に遠位骨片を一致させる角度。三角筋・烏口腕筋の牽引で外転位をとった近位骨片に合わせることで、骨折部の角状変形(内反)を防ぎ、整復位を保てる。この外転位の保持には外転枕(ミッデルドルフ三角枕)や外転副子を用い、肩外転70〜80度・軽度水平屈曲位に保つ。三角巾を用いる場合は前腕を支持する目的にとどめ、上肢を体幹に密着させる胸壁固定(=内転位の固定)は本骨折の固定肢位と逆になるため用いない。
✗ 1. 誤り
120〜130度
近位骨片の外転角度を大きく超えており、かえって骨折部を逆向きに屈曲させてしまう。肩を挙上したままの保持は患者の負担も大きく、長期固定に耐えない。
✗ 3. 誤り
10〜20度
三角筋付着部より近位の骨折で、近位骨片が内転位をとる場合に合わせる角度である。遠位骨折にこの角度を用いると近位骨片の外転位に届かず、内反変形が残る。
✗ 4. 誤り
0度
下垂位。外転している近位骨片との角度差が最も大きくなり、骨折部に角状変形を残す。骨片の向きを無視した肢位である。
ポイント
  • 境目は三角筋粗面。ここより近位か遠位かで転位方向が逆になる。
  • 付着部より近位の骨折:近位骨片は内転・内旋 → 肩はほぼ下垂〜軽度外転(10〜20度)で固定。
  • 付着部より遠位の骨折:近位骨片は外転 → 肩は外転70〜80度で固定。
  • 固定は「近位骨片に遠位骨片を合わせる」が原則。
  • 外転位の保持具は外転枕(ミッデルドルフ三角枕)・外転副子。三角巾+胸壁固定は内転位の固定法なので混同しない。
  • 中下1/3の骨折では橈骨神経麻痺(下垂手)の合併を必ず確認する。
比較表
骨折部位近位骨片を引く筋近位骨片の向き肩の固定角度主な固定具
三角筋付着部より近位大胸筋・広背筋・大円筋内転・内旋下垂〜軽度外転(10〜20度)三角巾+胸壁固定など(内転位)
三角筋付着部より遠位三角筋・烏口腕筋外転(+軽度屈曲)外転70〜80度外転枕(三角枕)・外転副子(外転位)
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