学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §9 上腕骨外科頸外転型骨折の診察および整復 / QJ32A009

理由で解く 柔道整復師

QJ32A009 必修問題

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問9
問題
上腕骨外科頸外転型骨折で誤っているのはどれか。
選択肢
1 前外方凸の変形がみられる。
2 肩関節の可動域が制限される。
3 軸圧を加えると痛みが増強する。
4 広範囲に皮下出血斑が出現する。
解答
正解1(前外方凸の変形がみられる。)
解説

上腕骨外科頸外転型骨折では、骨折部は前内方へ突出します。「前外方凸」は内転型でみられる変形であり、外転型の記述としては誤りです。

上腕骨外科頸骨折は、転倒時に上肢がどの肢位で床につかれたかで型が分かれます。上肢を外転位でついて肩に外転が強制されると外転型となり、遠位骨片が外転位をとって近位骨片との間に角状変形を生じ、骨折部は前内方へ突出します。逆に内転位でつくか肩の外側から直達外力を受けると内転型となり、骨折部は前外方へ突出します。型を問わず骨折ですから、肩関節の自動・他動運動は強く制限されます。また、肘や前腕から長軸方向に軸圧を加えると骨折部に介達痛が出ます。外科頸は関節包の外にあり、周囲の疎な軟部組織へ出血が広がるため、数日後に上腕内側から前胸部・前腕にかけて広範囲の皮下出血斑が現れます。腋窩神経損傷を合併することがあるので、初診時には三角筋部(肩外側)の知覚と三角筋の収縮の有無、橈骨動脈の拍動と手指の色調を確かめて記録します。ただし疼痛が強く骨片が不安定ですから、肩を外転させて筋力を測るような評価は転位を助長するため行わず、そのまま固定して医師の画像診断につなぎます。

✓ 1. 誤り(これが答え)
前外方凸の変形がみられる。
外転型では遠位骨片が外転位をとるため、骨折部は前内方へ凸となります。前外方凸は内転型の所見であり、型が入れ替わっています。したがってこれが設問の答えです。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
肩関節の可動域が制限される。
骨折部の疼痛と不安定性のため、肩関節の自動運動はほとんどできず、他動運動も強い痛みで制限されます。外転型に限らず外科頸骨折に共通する所見で、記述は正しいです。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
軸圧を加えると痛みが増強する。
肘や前腕から長軸方向に力を加えると、離れた骨折部に力が伝わって痛みが強くなります。これが介達痛(軸圧痛)で、骨折を疑う根拠になる所見です。記述は正しいです。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
広範囲に皮下出血斑が出現する。
外科頸は関節包外にあるため、出血が関節内にとどまらず周囲の疎な軟部組織を伝って広がります。受傷から数日で上腕内側から前胸部・前腕にかけて広範囲の皮下出血斑がみられます。記述は正しいです。
ポイント
  • 外転型=上肢を外転位でついて受傷。遠位骨片が外転位をとり、骨折部は前内方凸
  • 内転型=内転位でつく/肩外側からの直達外力。骨折部は前外方凸。凸の向きが逆と覚える。
  • 軸圧を加えて骨折部が痛む介達痛(軸圧痛)は、骨折を疑う代表的所見。
  • 外科頸は関節包外なので、出血が軟部組織を伝って上腕内側〜前胸部へ広範囲に皮下出血斑をつくる。
  • 腋窩神経損傷を合併しうるため、初診時に三角筋部(肩外側)の知覚と三角筋の収縮の有無、橈骨動脈の拍動・手指の色調を確認して記録する。
  • 疼痛と骨片の不安定性があるので、肩を外転させて筋力をみる評価は行わない。確認できた範囲を記録して固定し、医師の画像診断につなぐ。
比較表
外転型内転型
受傷肢位・外力上肢を外転位でついて肩に外転が強制される内転位でつく、または肩外側からの直達外力
遠位骨片外転位内転位
骨折部の突出方向前内方凸前外方凸
共通所見肩関節可動域制限、軸圧による介達痛、数日後に広範囲の皮下出血斑
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