学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §8 定型的鎖骨骨折の固定 / QJ32A008

理由で解く 柔道整復師

QJ32A008 必修問題

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問8
問題
セイヤー絆創膏固定法で誤っているのはどれか。
選択肢
1 腋窩枕子は末梢牽引の梃子の支点にする。
2 第1帯は鎖骨の短縮転位を防止する。
3 第2帯は遠位骨片の上方転位を防止する。
4 第3帯は骨折部を圧迫する。
解答
正解3(第2帯は遠位骨片の上方転位を防止する。)
解説

セイヤー絆創膏固定法は鎖骨骨折に用いる3本の絆創膏による固定で、各帯が対抗する転位方向が決まっています。第2帯が防ぐのは遠位骨片の「下方」転位(下垂)であり、「上方転位を防止する」は方向が逆で誤りです。

鎖骨骨折では、近位骨片が胸鎖乳突筋に引かれて上方へ、遠位骨片は上肢の重みと大胸筋・小胸筋の牽引で下方かつ内方へ引かれ、全体として短縮します。セイヤー法は、この転位方向のそれぞれに帯を割り当てて対抗させる固定法です。第1帯は腋窩枕子を支点として上腕を体幹に引き付け、テコの原理で遠位骨片を外後方へ押し出し、短縮転位を除きます。第2帯は患側の肘を前上方へ引き上げ、下がろうとする遠位骨片を持ち上げます。第3帯は前腕を吊って患肢の重量を支えるとともに骨折部を押さえ、整復位を保持します。固定後は絆創膏かぶれ、腋窩・肘頭の圧迫、指先の色調と感覚を毎回確認し、異常があれば貼り直します。

✓ 3. 誤り(これが答え)
第2帯は遠位骨片の上方転位を防止する。
遠位骨片は上肢の重みで下方へ引かれるのであって、上方へは転位しません(上方へ引かれるのは胸鎖乳突筋がつく近位骨片です)。第2帯は患側の肘を前上方へ引き上げることで、この遠位骨片の下方転位(下垂)を防ぐ帯です。防ぐ方向が逆になっているので、この記述が設問の答えになります。
✗ 1. 正しい記述(答えではない)
腋窩枕子は末梢牽引の梃子の支点にする。
腋窩に入れた枕子が支点となり、上腕を体幹側へ引き付けると、上腕骨がテコの腕となって肩甲帯ごと遠位骨片を外後方へ押し出します。この末梢牽引の効きが枕子の役割そのものですから、記述は正しいといえます。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
第1帯は鎖骨の短縮転位を防止する。
第1帯は腋窩枕子を支点に上腕を固定して末梢牽引を働かせる帯であり、その狙いは骨片が重なって短くなる短縮転位を除いて保つことにあります。記述は正しいです。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
第3帯は骨折部を圧迫する。
第3帯は前腕を吊って患肢の重量を骨折部から逃がすと同時に、絆創膏の張力で骨折部を押さえ、第1帯・第2帯でつくった整復位を保つ役割をもちます。記述は正しいです。
ポイント
  • 鎖骨骨折の転位は「近位骨片=上方(胸鎖乳突筋)/遠位骨片=下方・内方(上肢の重み+大胸筋・小胸筋)+全体の短縮」。
  • 第1帯:腋窩枕子を支点に末梢牽引 → 短縮転位を防ぐ。
  • 第2帯:肘を前上方へ引き上げる → 遠位骨片の下方転位(下垂)を防ぐ。上方転位ではない。
  • 第3帯:前腕を吊り、骨折部を圧迫して整復位を保持する。
  • 固定後は絆創膏かぶれ、腋窩・肘頭の圧迫、指先の色調・感覚を毎回確認し、異常があれば貼り直す。
比較表
働かせる力対抗する転位
第1帯腋窩枕子を支点にした末梢牽引短縮転位
第2帯患側の肘を前上方へ引き上げる遠位骨片の下方転位(下垂)
第3帯前腕を吊り、骨折部を圧迫する患肢の重みによる整復位の崩れ
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