学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §8 定型的鎖骨骨折の固定 / QJ33A005

理由で解く 柔道整復師

QJ33A005 必修問題

出典:第33回柔道整復師国家試験(2025)午前 問5
問題
定型的鎖骨骨折の固定肢位はどれか。
選択肢
1 肩甲骨下垂位
2 肩甲骨内転位
3 肩関節外旋位
4 肩関節外転位
解答
正解2(肩甲骨内転位)
解説

定型的鎖骨骨折の固定は、両肩を後上方へ引いて胸を張らせた肢位、すなわち肩甲骨内転(後退)位で行う。正答は2。

定型的鎖骨骨折は中1/3部(中外1/3境界部)に起こる。近位骨片は胸鎖乳突筋に引かれて上後方へ、遠位骨片は上肢の重みと大胸筋・小胸筋などに引かれて下方かつ前内方へ動き、短縮転位を生じる。この短縮と下垂を戻すには、肩を後上方へ引いて鎖骨の走行を伸ばす方向、つまり肩甲骨を内転させて胸郭を広げた肢位が必要になる。8字帯(リング固定)やセイヤー絆創膏固定は、この胸を張った肢位を保つための道具である。固定後は上肢の重みで肩が再び下がりやすいので、三角巾などで前腕を吊って重みを取り除く。あわせて腋窩や上腕の圧迫による橈骨動脈拍動の減弱、手指のしびれ、腫脹の有無を繰り返し確認し、異常があれば速やかに固定を調整する。

✓ 2. 正しい
肩甲骨内転位
肩甲骨を内転(後退)させると鎖骨の遠位端が後上方へ引かれ、遠位骨片の下垂と前内方への短縮転位が是正される。いわゆる「胸を張った姿勢」で、この肢位を保つことが固定の目的そのもの。
✗ 1. 誤り
肩甲骨下垂位
遠位骨片が下方へ転位している状態そのものであり、この肢位では転位を助長してしまう。固定では逆に、下がった肩を後上方へ引き上げる。
✗ 3. 誤り
肩関節外旋位
上腕の回旋は鎖骨の長軸方向の転位にほとんど影響しない。固定肢位を決める要素は上腕の回旋ではなく、肩甲骨の位置(内転か下垂か)である。
✗ 4. 誤り
肩関節外転位
上腕を外転させても、肩甲骨が前方に出たままでは短縮転位は戻らない。むしろ患肢は三角巾で体幹に沿わせて吊り、重みを取り除いておく方が転位の再発を防げる。
ポイント
  • 定型的鎖骨骨折=中1/3部(中外1/3境界部)の骨折。
  • 近位骨片は胸鎖乳突筋で上後方へ、遠位骨片は上肢の重み・大胸筋などで下方+前内方へ短縮転位。
  • 固定肢位は「胸を張った姿勢」=肩甲骨内転(後退)位。
  • 固定具:8字帯(リング固定)、セイヤー絆創膏固定、デゾー包帯など。
  • 上肢は三角巾で吊って重みを除く。腋窩・上腕の圧迫による神経血管障害を毎回確認する。
比較表
骨片引く力転位の方向固定での戻し方
近位骨片胸鎖乳突筋上後方遠位骨片を近位骨片に近づける
遠位骨片上肢の重み、大胸筋・小胸筋など下方・前内方(短縮)肩を後上方へ引く=肩甲骨内転位+患肢を吊る
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