学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ31P119

理由で解く 柔道整復師

QJ31P119 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問119
問題
45歳の男性。植木業をしている。仕事で手を酷使しているが1.か月前から右手関節痛を自覚し、軽減しないので来所した。手関節に運動痛および背屈制限がみられ、手関節伸筋支帯第4区画付近に圧痛がみられた。この疾患で正しいのはどれか。
選択肢
1 加齢性の疾患である。
2 尺屈回外テストは陽性となる。
3 リックマン分類が用いられる。
4 後遺症は残らない。
解答
正解3(リックマン分類が用いられる。)
解説

手を酷使する中年男性に生じ、手関節背側の伸筋支帯第4区画付近に圧痛と背屈制限がみられる本例はキーンベック病(月状骨軟化症)である。病期分類にはリックマン(Lichtman)分類が用いられるため、正しいのは3である。

伸筋支帯の第4区画には総指伸筋腱と示指伸筋腱が通り、その深部の手関節背側中央に月状骨が位置する。したがってこの部位の限局性圧痛は月状骨の病変を示唆する。キーンベック病は月状骨に阻血性の変化が生じ、進行すると圧潰・分節化から手根骨の配列異常、変形性関節症へと至る疾患で、手を繰り返し使う職業の20〜40歳代男性に多い。症状は手関節背側の痛み、握力低下、背屈制限として現れ、経過が長いのが特徴である。病期は画像所見に基づくリックマン分類(Lichtman分類)で評価され、ステージにより保存療法から手術まで方針が変わる。したがって、手の使用を控える指導と並行して、早い段階で医療機関の画像評価(単純エックス線に加えMRIなど)につなぐことが予後を左右する。

✓ 3. 正しい
リックマン分類が用いられる。
キーンベック病の病期は、月状骨の骨折線・硬化像の有無、圧潰の程度、手根配列の変化、変形性関節症の合併といった画像所見に基づいてリックマン(Lichtman)分類でステージ分けされる。ステージが治療方針と予後の判断材料になるため、早期の画像評価が重要である。
✗ 1. 誤り
加齢性の疾患である。
キーンベック病は手を酷使する20〜40歳代の男性に好発し、本例のように職業的に手を使い続ける人に多い。加齢による退行変性が主体の疾患ではなく、繰り返す機械的ストレスと月状骨の血行の乏しさが背景にあると考えられている。
✗ 2. 誤り
尺屈回外テストは陽性となる。
手関節を尺屈させて回内外を加える誘発テストは、主に三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷の評価に用いられ、痛みが出るのは手関節尺側である。キーンベック病の圧痛は手関節背側中央(第4区画深部)であり、誘発される部位も検査の狙いも異なる。
✗ 4. 誤り
後遺症は残らない。
進行すると月状骨が圧潰・分節化し、手根骨の配列異常から変形性関節症へ移行して、可動域制限・握力低下・慢性の疼痛が残りうる。だからこそ手の使用量の調整と、早期の画像評価・専門的治療への橋渡しが必要になる。
ポイント
  • 伸筋支帯第4区画=総指伸筋腱・示指伸筋腱。その深部の手関節背側中央に月状骨がある。
  • キーンベック病は手を酷使する20〜40歳代男性に好発。加齢性の変性疾患ではない。
  • 症状は手関節背側の運動痛、背屈制限、握力低下。経過が長く緩徐に進行する。
  • 病期分類はリックマン(Lichtman)分類。ステージにより治療方針が変わる。
  • 進行例では圧潰・手根配列異常・変形性関節症を残す。早期に医療機関の画像評価へつなぐ。
比較表
キーンベック病ド・ケルバン病TFCC損傷
部位手関節背側中央(第4区画深部の月状骨)手関節橈側(伸筋支帯第1区画)手関節尺側(尺骨頭〜三角骨間)
好発手を酷使する20〜40歳代男性妊娠・産後の女性、手作業の多い人転倒・スポーツ外傷、尺骨突き上げ
誘発所見背屈時痛、背側中央の圧痛フィンケルシュタインテスト陽性尺屈+回内外での疼痛誘発
分類・評価リックマン(Lichtman)分類
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