学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §17 各論(骨折) 下肢 / QJ31P090

理由で解く 柔道整復師

QJ31P090 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問90
問題
下腿骨骨幹部骨折で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 好発部位は脛骨中央部である。
2 横骨折は前方凸変形となりやすい。
3 中下1/3の骨折では偽関節になりやすい。
4 斜骨折の骨折線は前内方から後外上方へ走る。
解答
正解3(中下1/3の骨折では偽関節になりやすい。)、4(斜骨折の骨折線は前内方から後外上方へ走る。)
解説

下腿骨骨幹部骨折は脛骨の中・下1/3境界部に好発し、この部位は血行と軟部組織の被覆に乏しいため遷延治癒・偽関節をきたしやすい。また介達外力による斜骨折では、骨折線が前内下方から後外上方へ斜めに走る。正しいのは3と4である。

脛骨は前内側面が皮下に直接触れており、筋による被覆をほとんど持たない。栄養動脈は骨幹の中1/3後面から入って遠位へ向かうため、中・下1/3境界部で折れると遠位骨片への血行が乏しくなる。ここに開放骨折になりやすいという条件も重なり、癒合遅延・偽関節の危険が高い部位となる。受傷機転は、直達外力(前方からの打撃・轢過)なら脛骨と腓骨がほぼ同じ高さで折れる横骨折や粉砕骨折となり、介達外力(足部が固定された状態での捻転・屈曲)なら斜骨折・螺旋状骨折となって腓骨は脛骨より高位で折れることが多い。下腿では区画(コンパートメント)症候群の危険も高く、強い緊満感や安静時痛の増強、他動的な足趾伸展での激痛があれば固定を緩めて直ちに医療機関へ搬送する。

✓ 3. 正しい
中下1/3の骨折では偽関節になりやすい。
脛骨の栄養動脈は中1/3後面から進入して遠位へ走るため、中・下1/3境界部で骨折すると遠位骨片が阻血に陥りやすい。加えてこの高さは筋の被覆が乏しく骨膜からの血行にも恵まれない。結果として癒合に時間がかかり、遷延治癒や偽関節に移行する頻度が高い。
✓ 4. 正しい
斜骨折の骨折線は前内方から後外上方へ走る。
足部が固定された状態で下腿に捻転・屈曲の介達力が加わると、皮下にある脛骨の前内側から破断が始まり、骨折線は前内側の下方から後外側の上方へ向かって斜めに抜ける。腓骨は脛骨骨折部より高い位置で折れることが多いのも、介達外力による損傷の特徴である。
✗ 1. 誤り
好発部位は脛骨中央部である。
好発するのは中央部ではなく中・下1/3境界部である。この部位は脛骨の断面が三角形から円形へ移行して力学的に弱く、しかも血行と筋の被覆に乏しい。「折れやすい場所」と「治りにくい場所」が一致している点が、この骨折を理解する鍵になる。
✗ 2. 誤り
横骨折は前方凸変形となりやすい。
横骨折は主に直達外力によって生じ、脛骨と腓骨がほぼ同じ高さで折れて骨片間の噛み合わせが残るため、転位は外力の加わった方向に規定される。前方凸(反張)変形が問題になるのは、主に介達外力による斜骨折・螺旋状骨折で遠位骨片が後方へ転位した場合であり、横骨折だから前方凸になるという結びつけはできない。
ポイント
  • 好発部位は脛骨中・下1/3境界部。断面形状の移行部で力学的に弱い。
  • 栄養動脈は中1/3後面から入り遠位へ向かうため、中・下1/3骨折では遠位骨片が阻血となり遷延治癒・偽関節を招きやすい。
  • 介達外力(捻転)→斜骨折・螺旋状骨折。骨折線は前内下方から後外上方へ走り、腓骨は高位で折れる。
  • 直達外力(打撃・轢過)→横骨折・粉砕骨折。脛骨と腓骨がほぼ同高位で折れる。
  • 脛骨前内側面は皮下直下のため開放骨折になりやすく、区画症候群にも注意して医療機関へつなぐ。
比較表
横骨折・粉砕骨折斜骨折・螺旋状骨折
外力直達外力(前方からの打撃、轢過)介達外力(足部固定下の捻転・屈曲)
脛骨と腓骨の骨折高位ほぼ同じ高さ腓骨が脛骨より高位のことが多い
骨折線ほぼ横走前内下方から後外上方へ斜走(螺旋状)
転位外力の方向に規定される遠位骨片が後方・外方へ転位し、前方凸変形をきたしうる
合併・続発開放骨折、軟部組織損傷中・下1/3では遷延治癒・偽関節
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