学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §23 各論(軟部組織損傷) 下肢 / QJ31P089

理由で解く 柔道整復師

QJ31P089 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問89
問題
有痛性分裂膝蓋骨で正しいのはどれか。
選択肢
1 中高年に多い。
2 安静時に痛みがある。
3 関節水症がみられる。
4 大腿四頭筋ストレッチが有効である。
解答
正解4(大腿四頭筋ストレッチが有効である。)
解説

分裂膝蓋骨は骨化核の癒合不全で、外側広筋に引っ張られる上外側部が痛む。だから大腿四頭筋のストレッチで牽引ストレスを減らすことが治療の柱になる。

膝蓋骨は複数の骨化核から発達し、癒合せずに分離片が残ったものが分裂膝蓋骨である。Saupe分類では上外側型(Ⅲ型)が最も多く、外側広筋の走行と一致する。無症状のことも多いが、10〜15歳前後のスポーツをする男子で、外側広筋や膝蓋大腿靱帯が分離片を繰り返し牽引すると、線維性結合部に炎症が起きて痛みが出る(有痛性分裂膝蓋骨)。関節そのものの病気ではないため、痛みはジャンプ・ダッシュ・階段昇降など筋活動時に限られ、安静で軽くなるのが特徴である。対応は牽引ストレスを減らすことが原則で、大腿四頭筋ストレッチ、運動量の調整、必要なら一時的な運動休止を組み合わせる。

✗ 1. 誤り
中高年に多い。
骨化核の癒合過程に関わる病態のため、症状が出るのは骨端が完成する前の10〜15歳前後のスポーツ活動期に集中する。中高年の膝前面痛では、まず変形性膝関節症や膝蓋大腿関節症を考える。
✗ 2. 誤り
安静時に痛みがある。
痛みは分離片を牽引する筋活動によって誘発されるので、運動時痛・運動後痛が中心で安静により軽減する。安静時にも持続する痛みや夜間痛があるなら、感染や腫瘍など別の病態も想定して医療機関に紹介する。
✗ 3. 誤り
関節水症がみられる。
病変は膝蓋骨の分離部(骨と線維性結合)にあり関節内の滑膜炎ではないため、関節水症は通常みられない。水腫を認める場合は半月板損傷、靱帯損傷、離断性骨軟骨炎など関節内病変を考える。
✓ 4. 正しい
大腿四頭筋ストレッチが有効である。
分離片には外側広筋や膝蓋大腿靱帯を介した牽引力がかかっている。大腿四頭筋(とくに外側広筋)の柔軟性を高めれば牽引ストレスが減り疼痛が軽減する。局所の安静と運動量の調整を併せて行う。
ポイント
  • 分裂膝蓋骨はSaupe Ⅲ型(上外側)が最多。外側広筋が引っ張る方向と一致する。
  • 好発は10〜15歳の男子。スポーツ時の膝前外側部痛と分離部の限局性圧痛。
  • 関節内病変ではないので関節水症はなく、安静時痛もないのが原則。
  • 治療の柱は大腿四頭筋ストレッチと運動量の調整。「引っ張られて痛い→引っ張る力を減らす」で理解する。
  • 無症状の分裂膝蓋骨は治療対象ではない。画像所見だけで判断せず症状と合わせて評価する。
比較表
疾患痛む部位牽引する構造好発年齢
有痛性分裂膝蓋骨膝蓋骨上外側外側広筋・膝蓋大腿靱帯10〜15歳
オスグッド病脛骨粗面膝蓋腱(脛骨粗面付着部)10〜15歳
ジャンパー膝膝蓋骨下極膝蓋腱(膝蓋骨付着部)中学生〜成人
シンディング・ラーセン・ヨハンソン病膝蓋骨下極膝蓋腱(成長期の骨端)10〜13歳
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