学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §17 各論(骨折) 下肢 / QJ31P088

理由で解く 柔道整復師

QJ31P088 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問88
問題
骨折で血尿が生じやすいのはどれか。
選択肢
1 尾骨
2 恥骨
3 坐骨
4 仙骨
解答
正解2(恥骨)
解説

血尿は「折れた骨のすぐ隣に尿路があるか」で決まる。骨盤前方にあって膀胱・尿道と接する恥骨の骨折で最も生じやすい。

膀胱と尿道(男性では膜様部尿道)は恥骨結合のすぐ後方から下方に位置し、恥骨上枝・下枝に密着している。恥骨が折れると骨片や剪断力が直接これらを傷つけ、血尿・尿道出血・排尿困難として現れる。とくに恥骨上下枝が両側で折れる型や恥骨結合離開では尿路損傷の合併率が高い。恥骨骨折を疑ったら初回排尿の色調と排尿の可否を必ず確認し、血尿がある・尿が出ないときは自分で導尿を試みず、速やかに医療機関へ紹介する。骨盤骨折は後腹膜への大量出血からショックに至ることもあるため、バイタルサインの確認も併せて行う。

✗ 1. 誤り
尾骨
尾骨は骨盤の最後方下端にあり、前面で接するのは直腸である。転倒して殿部を打って受傷し、坐位時痛や排便時痛が主症状となる。尿路とは位置が離れており、血尿の原因にはなりにくい。
✓ 2. 正しい
恥骨
恥骨は骨盤前方にあり、その後方に膀胱、下方に尿道が接している。骨折時にこれらが直接損傷を受けるため、血尿や尿道口からの出血、排尿困難を合併しやすい。
✗ 3. 誤り
坐骨
坐骨結節はハムストリングの起始部で、裂離骨折や直達外力による骨折が起こる。近接するのは坐骨神経や骨盤底の筋群であり、尿路そのものではないため血尿は典型症状にならない。
✗ 4. 誤り
仙骨
仙骨骨折で問題になるのは仙骨孔・仙骨管を通る仙骨神経(S2〜S4)の障害で、尿閉や失禁といった膀胱直腸障害、会陰部の感覚障害を生じる。これは排尿の「機能」の異常であり、尿に血が混じる直接の原因ではない。
ポイント
  • 血尿は尿路(膀胱・尿道)損傷のサイン。骨盤骨折では「どの骨がどの臓器の隣にあるか」で合併症を予測する。
  • 恥骨(前方)→膀胱・尿道/尾骨(後下方)→直腸/仙骨(後方)→仙骨神経=膀胱直腸障害。
  • 恥骨上下枝の両側骨折や恥骨結合離開では尿路損傷の合併率が高い。
  • 血尿・排尿困難があれば導尿を試みず、直ちに医療機関へ紹介する。
  • 骨盤骨折は後腹膜出血によるショックの危険がある。血圧・脈拍・顔色を必ず確認する。
比較表
骨折部位近接する構造特徴的な合併症・症状
恥骨膀胱・尿道血尿、尿道出血、排尿困難
坐骨坐骨神経、骨盤底坐骨神経症状、坐位時痛
仙骨仙骨神経(S2〜S4)膀胱直腸障害、会陰部の感覚障害
尾骨直腸坐位時痛、排便時痛
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