学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §6 総論 骨折 / QJ31P085

理由で解く 柔道整復師

QJ31P085 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問85
問題
小児が急に腕を動かさなくなった。考えにくいのはどれか。
選択肢
1 鎖骨骨折
2 肩関節脱臼
3 上腕骨顆上骨折
4 肘内障
解答
正解2(肩関節脱臼)
解説

肩関節脱臼は考えにくい。小児は関節包・靱帯が丈夫で、代わりに骨端線が力学的に弱いため、外力は脱臼ではなく骨端線離開や骨折として現れる。

小児の骨・関節には成人と異なる弱点がある。靱帯や関節包は強靱でよく伸び、骨自体もしなやかで完全には折れにくい一方、成長軟骨板(骨端線)は弱い。そのため成人なら脱臼になるような外力でも、小児では骨端線離開や若木骨折として現れる。「急に腕を動かさなくなった」で真っ先に想起すべきは、2〜4歳で手を引っ張られて生じる肘内障(橈骨頭亜脱臼)で、腫脹がほとんどなく前腕回内・肘軽度屈曲位で下垂したまま動かそうとしない。ほかに鎖骨骨折、上腕骨顆上骨折が挙がる。顆上骨折は上腕動脈損傷や正中神経損傷からフォルクマン拘縮に至る危険があるため、橈骨動脈の拍動、手指の色・冷感・感覚・運動を確認し、疑えばただちに医療機関へつなぐ。

✓ 2. これが答え(考えにくい)
肩関節脱臼
小児では関節包・靱帯が強く骨端線が弱いため、脱臼より骨端線離開や骨折が起こる。小児の肩関節脱臼はまれ。
✗ 1. 答えではない(十分に考えられる)
鎖骨骨折
小児で最も多い骨折の一つ。転倒して肩をつく、あるいは分娩時に生じ、患側の上肢を動かさなくなる。頭部を患側に傾け、健側の手で患肢を支える姿勢をとる。
✗ 3. 答えではない(十分に考えられる)
上腕骨顆上骨折
肘を伸ばして手をついた転倒で起こる小児肘の代表的骨折。腫脹と疼痛で肘を動かさなくなる。血行・神経障害の合併に警戒が要る。
✗ 4. 答えではない(十分に考えられる)
肘内障
2〜4歳で手を急に引っ張られて生じる橈骨頭亜脱臼。腫脹はほとんどなく、前腕回内位で肘を下垂したまま動かそうとしない。
ポイント
  • 小児は靱帯・関節包が強く骨端線が弱い → 脱臼はまれで、骨端線離開・若木骨折になりやすい。
  • 「急に腕を動かさない」でまず想起するのは肘内障(2〜4歳、手を引っ張られた)。腫脹がないことが手がかり。
  • 鎖骨骨折は小児に多い。旺盛な仮骨形成で癒合し、変形も自家矯正されやすい。
  • 上腕骨顆上骨折は上腕動脈・正中神経損傷からフォルクマン拘縮に至る危険。5Pの確認を欠かさない。
  • 小児は痛い場所を正しく言えないことがある。健側と比べながら鎖骨から手指まで順に触れて確認する。
比較表
疾患年齢・受傷機転特徴
肘内障2〜4歳、手を引っ張られる腫脹なし、前腕回内位で下垂
鎖骨骨折転倒で肩をつく、分娩時頭を患側に傾け、健側手で患肢を支える
上腕骨顆上骨折肘伸展位で手をついた転倒著明な腫脹。血管・神経障害に警戒
肩関節脱臼小児ではまれ骨端線離開・骨折として現れやすい
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