学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ31P072

理由で解く 柔道整復師

QJ31P072 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問72
問題
小児骨折で偽関節になりやすいのはどれか。
選択肢
1 上腕骨外顆骨折の回転転位
2 橈骨頸部骨折の屈曲転位
3 大腿骨骨幹部骨折の捻転転位
4 腓骨骨幹部骨折の側方転位
解答
正解1(上腕骨外顆骨折の回転転位)
解説

受理された正答は1の上腕骨外顆骨折の回転転位。関節内骨折であるうえに骨片が回転してしまうため、そのまま経過すると骨癒合が得られにくい。

上腕骨外顆骨折は小児の肘に起こる代表的な骨折で、骨折線が関節面に達する関節内骨折である。外顆骨片には外側上顆から起こる前腕伸筋群が付着しており、その牽引で骨片が引き出されながら回転する。関節内では骨折面が関節液に洗われて骨折血腫がとどまらないため治癒環境として不利で、回転したまま固定すると骨癒合不全(偽関節)を残しやすい。癒合しないまま経過すると外反肘となり、年余を経て遅発性尺骨神経麻痺を招く。だからこそ回転転位を残さないことが要点で、転位があれば手術も含めた治療選択ができる医療機関へつなぐ。他の3つは骨幹部や骨膜の厚い部位の骨折で、小児では旺盛な仮骨形成と骨膜の支持が働き、癒合そのものは得られやすい。

✓ 1. 正しい
上腕骨外顆骨折の回転転位
関節内骨折で骨折面が関節液に洗われ、さらに伸筋群の牽引で骨片が回転するため癒合しにくい。外反肘から遅発性尺骨神経麻痺につながるので、回転転位は残さない。
✗ 2. 誤り
橈骨頸部骨折の屈曲転位
骨端線近くの関節外骨折で骨膜が保たれやすく、小児では傾斜がある程度残っても自家矯正が期待できる。角度が大きければ整復を要するが、癒合不全は起こしにくい。
✗ 3. 誤り
大腿骨骨幹部骨折の捻転転位
骨幹部は血行が豊富で厚い骨膜に包まれ、小児では旺盛な仮骨形成で癒合する。ただし捻転(回旋)転位は自家矯正されにくいので、整復と固定で正しておく。
✗ 4. 誤り
腓骨骨幹部骨折の側方転位
腓骨は荷重をほとんど担わず、隣接する脛骨が支柱となって位置が保たれるため癒合しやすい。
ポイント
  • 小児で骨癒合不全(偽関節)が問題になる代表=上腕骨外顆骨折。関節内骨折+伸筋群による回転転位が原因。
  • 関節内骨折は骨折血腫が関節液に洗い流されるため、治癒環境として不利になる。
  • 上腕骨外顆骨折の後遺症=外反肘、そして数年〜十数年後の遅発性尺骨神経麻痺。長期の経過観察につなぐ。
  • 小児の自家矯正が期待できるのは、年齢が低い・骨端線に近い・屈曲や側方の転位のとき。回旋転位は矯正されにくい。
  • 骨幹部骨折は骨膜が厚く血行も良いため、小児では癒合そのものは得られやすい。
比較表
骨折癒合の得やすさ理由
上腕骨外顆骨折(回転転位)得にくい関節内骨折+伸筋群の牽引による回転
橈骨頸部骨折(屈曲転位)得やすい関節外、骨膜が保たれ自家矯正も働く
大腿骨骨幹部骨折(捻転転位)得やすい血行豊富・厚い骨膜。ただし回旋は矯正されにくい
腓骨骨幹部骨折(側方転位)得やすい荷重を担わず、脛骨が支柱となる
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