学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ31P086

理由で解く 柔道整復師

QJ31P086 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問86
問題
肩甲骨骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 骨体部骨折では縦骨折が多い。
2 肩峰骨折では著しく転位する。
3 上角骨折では上外方に転位する。
4 下角骨折では前外上方に転位する。
解答
正解4(下角骨折では前外上方に転位する。)
解説

下角骨折では前外上方に転位する。下角には前鋸筋が付着しており、その牽引で骨片が前方かつ外上方へ引かれる。

肩甲骨は厚い筋層に包まれて胸郭の上を滑るように動くため、そもそも骨折が少なく、起こるときは強い直達外力を要する。骨折後の転位の向きは「その部位に何の筋が付いているか」で決まる。下角に付く前鋸筋は肩甲骨を胸郭に引きつけつつ前方へ引くため、骨片は前外上方へ転位する。上角に付くのは肩甲挙筋なので、骨片は上内方へ引かれる。骨体部は広く平たい部分で、直達外力に対して外力方向と交差する横骨折が多く、厚い筋に覆われているため大きくは転位しない。肩峰も靱帯と筋に支えられており転位はわずかにとどまる。肩甲骨骨折を認めたら、それだけの外力が加わったということなので、肋骨骨折・血気胸・鎖骨骨折・腕神経叢損傷の合併を確認したうえで医療機関へつなぐ。

✓ 4. 正しい
下角骨折では前外上方に転位する。
下角に付着する前鋸筋の牽引により、骨片は前方かつ外上方へ引かれる。
✗ 1. 誤り
骨体部骨折では縦骨折が多い。
骨体部は直達外力を受けて折れることが多く、外力の方向と交差する横骨折が多い。
✗ 2. 誤り
肩峰骨折では著しく転位する。
肩峰は肩鎖靱帯・烏口肩峰靱帯や三角筋・僧帽筋に支えられているため、転位は軽度にとどまることが多い。
✗ 3. 誤り
上角骨折では上外方に転位する。
上角に付着するのは肩甲挙筋で、骨片は上内方へ引かれる。外方ではない。
ポイント
  • 肩甲骨骨折は少ない。起こるときは強い直達外力なので、肋骨骨折・血気胸・鎖骨骨折・腕神経叢損傷の合併を必ず確認する。
  • 下角骨折=前鋸筋の牽引で前外上方へ転位。
  • 上角骨折=肩甲挙筋の牽引で上内方へ転位。
  • 骨体部骨折=横骨折が多く、厚い筋層に覆われるため転位は少ない。
  • 肩峰骨折=転位は軽度。烏口突起骨折は上腕二頭筋短頭・烏口腕筋の牽引で下方へ引かれる。
  • 転位方向は丸暗記せず「その部位に付く筋の走行」から導く。
比較表
部位付着する筋転位の方向
下角前鋸筋前外上方
上角肩甲挙筋上内方
烏口突起上腕二頭筋短頭・烏口腕筋下方
骨体部厚い筋層に覆われる転位少。横骨折が多い
肩峰三角筋・僧帽筋、靱帯転位は軽度
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