学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §16 各論(骨折) 上肢 / QJ31P071

理由で解く 柔道整復師

QJ31P071 柔道整復理論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問71
問題
陳旧性骨折となって発見される頻度が高いのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 スミス(Smith) 骨折
2 舟状骨骨折
3 有鈎骨鈎骨折
4 第5中手骨頸部骨折
解答
正解2(舟状骨骨折)、3(有鈎骨鈎骨折)
解説

舟状骨骨折と有鈎骨鈎骨折の2つ。いずれも受傷時の症状が軽く、しかも通常のエックス線では骨折線が写りにくいため、後になって「治らない手の痛み」として陳旧例で見つかる。

陳旧性骨折として発見されやすい骨折には共通点が2つある。ひとつは患者本人が捻挫や打撲と思って受診が遅れること、もうひとつは通常の撮影方向では骨が重なって骨折線が読めないこと。舟状骨は遠位(背側稜)から近位へ逆行性に血流が入るため、骨折が見逃されて固定されないまま経過すると近位骨片が阻血性壊死に陥り偽関節となる。有鈎骨鈎はグリップが当たる手掌尺側にあり、正面像では手根骨に重なって描出されない。どちらも放置すると偽関節や腱断裂、神経障害につながるので、圧痛部位が骨に一致するなら、写らなくても骨折として固定したうえで追加撮影やCTができる医療機関へつなぐ。

✓ 2. 正しい
舟状骨骨折
転倒して手をついた後の「手首の捻挫」として扱われやすい。腫脹が乏しく自動運動もできるため受診が遅れ、初回エックス線でも骨折線が写らないことがある。解剖学的嗅ぎタバコ入れの圧痛が手がかりになる。
✓ 3. 正しい
有鈎骨鈎骨折
野球・ゴルフ・テニスでグリップエンドが手掌尺側に当たって生じる。症状は「握ると痛い」程度にとどまり、通常のエックス線正面像では鈎が重なって見えないため陳旧例で発見されやすい。
✗ 1. 誤り
スミス(Smith) 骨折
橈骨遠位端骨片が掌側に転位する骨折で、手関節部に明らかな変形と強い疼痛・機能障害が出る。見た目で異常が分かり受傷直後に受診されるため、陳旧例として見つかることは少ない。
✗ 4. 誤り
第5中手骨頸部骨折
拳で殴って生じるいわゆるボクサー骨折。骨頭が掌側へ屈曲転位してナックルの隆起が消える変形が分かりやすく、腫脹・圧痛も明らかなので早期に受診される。
ポイント
  • 陳旧例で見つかりやすい二大骨折=舟状骨骨折と有鈎骨鈎骨折。共通点は「症状が軽い+通常エックス線で写りにくい」。
  • 舟状骨骨折=解剖学的嗅ぎタバコ入れの圧痛。血行が遠位から入るため近位骨片の阻血性壊死・偽関節が問題になる。
  • 有鈎骨鈎骨折=グリップ動作のスポーツで発生。放置すると小指・環指の屈筋腱断裂や尺骨神経深枝障害を来す。手根管撮影やCTで確認する。
  • エックス線が陰性でも骨に一致する圧痛があれば、骨折として固定したうえで再評価につなぐ。
  • 変形が明らかな骨折(スミス骨折、ボクサー骨折)は早期受診となるため陳旧例は少ない。
比較表
骨折陳旧化しやすさ理由
舟状骨骨折高い捻挫と誤られやすく、初回エックス線で写らないことがある
有鈎骨鈎骨折高い症状が軽く、通常撮影では鈎が重なって描出されない
スミス骨折低い掌側凸の変形と強い疼痛で受傷直後に受診される
第5中手骨頸部骨折低いナックルの消失という分かりやすい変形が出る
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