学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 整形外科学 ▸ §25 臨床実地問題 / QJ31P067
理由で解く 柔道整復師

高齢女性が転倒して手をついた、という典型的な受傷機転で、単純エックス線写真とギプス固定という経過から橈骨遠位端骨折が想定されます。ギプス除去後に問題化しやすいのは遠位橈尺関節やTFCCに由来する手関節尺側の痛みで、4が正しい所見です。
橈骨遠位端骨折は保存療法でも、わずかな短縮や背側への傾斜が残って癒合することがあります。橈骨が短くなると相対的に尺骨が長くなり(尺骨プラスバリアンス)、尺骨頭が手根骨や三角線維軟骨複合体(TFCC)を突き上げるかたちになります。そのためギプスが外れて手を使い始めた頃から、手関節の小指側の痛み、前腕を回す動作(回内・回外)での痛みやクリック音、握力の低下が現れます。遠位橈尺関節の不安定性やTFCCそのものの損傷を合併している場合も、同じ症状を出します。もう一つ有名な遅発性合併症が長母指伸筋腱(EPL)の皮下断裂ですが、こちらで障害されるのは母指の「伸展」であり、方向が逆である点が本問の引っかけどころです。誤りの選択肢を切るときは、部位が骨折部と一致するかどうかではなく、その病態が骨折や固定を成因として生じうるかどうかで判断します。実際、手根管症候群は骨片の転位や腫脹による手根管内圧上昇から起こり、CRPSは骨折部を越えて手全体に及ぶなど、合併症は必ずしも骨折部位そのものにとどまりません。ギプス除去後は、尺側部痛の有無、母指IP関節を自分で伸ばせるか、回内外の可動域と握力、しびれや腫脹の残存を順に確認していきます。
| 橈骨遠位端骨折の合併症 | 主な症状 | 確認のしかた |
|---|---|---|
| 遠位橈尺関節障害・TFCC損傷・尺骨突き上げ | 手関節尺側の痛み、回内外時の痛みやクリック、握力低下 | 小指側の圧痛、前腕回旋の可動域と痛み |
| 長母指伸筋腱の皮下断裂 | 母指を伸ばせない(伸展障害) | 母指IP関節の自動伸展ができるか |
| 手根管症候群 | 母指〜環指橈側のしびれ、母指球の筋力低下 | 感覚とつまみ動作の確認、誘発テスト |
| 複合性局所疼痛症候群(CRPS) | 不釣り合いに強い痛み、腫脹、皮膚の色調変化、可動域制限 | 腫脹・発汗・皮膚温の左右差、経過中の疼痛推移 |
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