学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §25 臨床実地問題 / QJ30P067

理由で解く 柔道整復師

QJ30P067 整形外科学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問67
問題
16歳の女子。バレーボールの試合中、ジャンプで着地した際に左膝に激痛が走った。試合は続行できたが、痛みが引かないため来所した。来所時、ラックマンテストが陽性であった。来所時の対応で誤っているのはどれか。
選択肢
1 膝蓋跳動の有無を確認する。
2 MRI検査を勧める。
3 早期からスクワット訓練を指導する。
4 発症予防プログラムが有効である。
解答
正解3(早期からスクワット訓練を指導する。)
解説

ラックマンテスト陽性は前十字靱帯損傷を強く疑わせる所見です。診断が確定していない急性期に荷重下のスクワット訓練を始めるのは適切でないため、答えは3です。

ジャンプの着地で膝に激痛が走り、その場は動けても痛みが続くという経過は、前十字靱帯損傷の典型的な訴えです。ラックマンテストは膝を20〜30度屈曲位にして脛骨を前方へ引き、前方移動量の増加と終末点の不明瞭さをみる検査で、急性期でも判定しやすく検出感度が高いのが特徴です。受傷直後から短時間で腫れる関節血症を伴うことが多く、膝蓋跳動で確認します。前十字靱帯は自然治癒が期待しにくく、放置すると膝崩れ(ギビングウェイ)を繰り返して半月板や関節軟骨を傷めるため、まず整形外科でMRIを含む評価を受けてもらうことが最優先です。柔道整復師としては、患部の固定と免荷、RICEによる腫脹・疼痛の管理を行い、医師の診断と指示のもとで段階的な運動療法につなぐ役割を担います。

✓ 3. これが答え(適切でない対応)
早期からスクワット訓練を指導する。
診断が確定しておらず、関節血症と腫脹のある急性期に荷重下のスクワットを始めると、疼痛・腫脹の増悪や半月板など合併損傷の悪化を招きかねません。この時点では患部の安静・固定・冷却・挙上を行って医療機関につなぎ、運動療法は医師の診断と指示のもとで、腫脹が引いてから可動域訓練や大腿四頭筋のセッティングといった負荷の軽いものから段階的に進めます。
✗ 1. 適切な対応(答えではない)
膝蓋跳動の有無を確認する。
関節内に液体が貯留しているかを判断する基本的な診察です。受傷直後から短時間で強く腫れる場合は関節血症であり、前十字靱帯損傷や骨軟骨損傷を示唆する重要な所見となるため、必ず確認します。
✗ 2. 適切な対応(答えではない)
MRI検査を勧める。
前十字靱帯の損傷程度に加え、半月板損傷、内側側副靱帯損傷、骨挫傷といった合併損傷まで評価できます。速やかに整形外科の受診を勧めるのが適切な対応です。
✗ 4. 適切な情報提供(答えではない)
発症予防プログラムが有効である。
着地やストップ・方向転換の動作指導、体幹と股関節を含めた神経筋トレーニングからなる予防プログラムは、前十字靱帯損傷の発生率を下げることが示されています。とくに女子選手で有用性が高く、復帰後の再受傷予防にもつながります。
ポイント
  • ラックマンテスト陽性は前十字靱帯損傷を強く示唆する。前方引き出しテストより急性期の検出力が高い。
  • 受傷直後の関節血症(膝蓋跳動陽性)は前十字靱帯損傷を疑う所見。
  • 急性期はRICEと固定・免荷を行い、速やかに整形外科へ。MRIで合併損傷まで評価してもらう。
  • 運動療法は医師の診断・指示のもと、腫脹の消退を待って段階的に進める。
  • 女子選手に多く、着地・切り返し動作の指導を含む予防プログラムが有効。
比較表
検査方法陽性が示すもの
ラックマンテスト膝20〜30度屈曲位で脛骨を前方へ引く前十字靱帯損傷(急性期でも判定しやすい)
前方引き出しテスト膝90度屈曲位で脛骨を前方へ引く前十字靱帯損傷(急性期は疼痛で判定困難)
後方引き出しテスト膝90度屈曲位で脛骨を後方へ押す後十字靱帯損傷
Nテスト(ピボットシフトテスト)伸展位から外反・内旋を加えて屈曲する前十字靱帯損傷による回旋不安定性
外反ストレステスト膝軽度屈曲位で外反を強制する内側側副靱帯損傷
マックマレーテスト屈曲位から回旋を加えつつ伸展する半月板損傷
膝蓋跳動膝蓋骨を押し下げて浮き沈みをみる関節液貯留(受傷直後なら関節血症)
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