学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §21 部位別各論 骨盤・股関節 / QJ30P066

理由で解く 柔道整復師

QJ30P066 整形外科学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問66
問題
特発性大腿骨頭壊死で正しいのはどれか。
選択肢
1 初期の免荷は不要である。
2 成長期の血流障害が背景となる。
3 CT 検査は確定診断に有用である。
4 ステロイド薬服用が関係している。
解答
正解4(ステロイド薬服用が関係している。)
解説

特発性大腿骨頭壊死は、ステロイド薬の大量全身投与とアルコール多飲が二大の背景因子です。正解は4です。

大腿骨頭は関節包内にあり、内側大腿回旋動脈から分かれる支帯動脈などの限られた血行に依存しているため、血流障害に弱い部位です。特発性大腿骨頭壊死は明らかな外傷なしに骨頭の荷重部が壊死する疾患で、30〜50歳代に多く発生します。膠原病などに対するステロイド薬の大量全身投与歴と、習慣性の大量飲酒が代表的な背景です。特徴的なのは、壊死が起きた時点では無症状で、壊死部が力学的に潰れる(圧潰する)ときに突然の股関節痛として発症する点です。早期診断にはMRIが最も有用で、壊死域を取り囲むバンド状の低信号(T1強調像)が典型像となります。

✓ 4. 正しい
ステロイド薬服用が関係している。
ステロイド薬の大量全身投与はアルコール多飲と並ぶ二大危険因子です。全身性エリテマトーデスなどの治療歴、飲酒歴の聴取が診断の重要な手がかりとなるため、股関節痛の問診では必ず確認します。
✗ 1. 誤り
初期の免荷は不要である。
治療の柱は骨頭の圧潰を防ぐことで、杖の使用や体重管理などの荷重制限を早期から行います。壊死範囲が広い例や圧潰が進行する例では、骨切り術や人工股関節全置換術が検討されます。
✗ 2. 誤り
成長期の血流障害が背景となる。
成長期(4〜8歳ごろ)に大腿骨頭骨端核の血行障害で生じるのはペルテス病です。特発性大腿骨頭壊死は成人に発生する別の疾患で、年齢と背景因子で明確に分けられます。
✗ 3. 誤り
CT 検査は確定診断に有用である。
早期診断・確定診断に最も有用なのはMRIです。CTは軟骨下骨折や圧潰の形態を評価する補助的な役割にとどまり、単純X線では発症初期に変化が現れません。
ポイント
  • 二大危険因子はステロイド薬の大量全身投与とアルコール多飲。
  • 好発は30〜50歳代。壊死自体は無症状で、圧潰したときに急な股関節痛で発症する。
  • 早期診断はMRI(T1強調像のバンド像)。X線・CTでは初期に写らない。
  • 治療の基本は免荷・荷重制限。進行例では骨切り術や人工股関節全置換術。
  • 小児のペルテス病とは年齢・背景因子で区別する。
比較表
特発性大腿骨頭壊死ペルテス病大腿骨頸部内側骨折後の壊死
好発年齢30〜50歳代4〜8歳(男児に多い)高齢者
背景ステロイド大量投与、アルコール多飲成長期の骨端核の血行障害骨折による支帯動脈の断裂
発症のしかた圧潰時に突然の股関節痛跛行、股関節痛・膝の痛み骨接合後の遅発性
診断MRIが最も有用X線・MRIX線・MRIで経過観察
治療免荷、骨切り術、人工股関節全置換術免荷装具、コンテインメント治療骨接合または人工骨頭置換術
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