学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §21 部位別各論 骨盤・股関節 / QJ31P066

理由で解く 柔道整復師

QJ31P066 整形外科学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問66
問題
大腿骨頭すべり症で正しいのはどれか。
選択肢
1 女性に多い。
2 肥満型に多い。
3 アリス徴候陽性となる。
4 好発年齢は壮年期である。
解答
正解2(肥満型に多い。)
解説

大腿骨頭すべり症は思春期の肥満傾向のある男児に多い。正しいのは2。

成長期の大腿骨近位骨端線には、骨頭を支える面が水平から斜めに傾いていくうえ、身長が急に伸びて骨端線の構造が一時的にもろくなる時期がある。ここに体重による剪断力が繰り返し加われば、骨頭が骨端線を境に後方・内方へずれていく。これが大腿骨頭すべり症で、好発は10〜16歳の思春期、男児が女児のおよそ2〜3倍と多い。体格では、下垂体性肥満・性腺発育不全を伴うフレーリッヒ型(肥満型)と、急激に身長が伸びた痩身型の二つの型が知られ、なかでも肥満型がよく問われる。臨床上とくに大切なのは、股関節痛だけでなく大腿部痛や膝痛を主訴に受診することがある点で、閉鎖神経を介した関連痛のため「膝が痛い」と言われても股関節を必ず診る。診察では股関節を屈曲させると患肢が自動的に外旋・外転してしまうドレーマン徴候が特徴で、跛行やトレンデレンブルグ歩行、股関節の内旋制限を伴う。すべりが進むと大腿骨頭壊死や軟骨融解を招くため、疑った時点で荷重を避けて速やかに医科へつなぐことが求められる。

✓ 2. 正しい
肥満型に多い。
体重が増えるほど骨端線にかかる剪断力が大きくなるため、肥満傾向のある思春期の児に多い。下垂体性肥満・性腺発育不全を伴う型(フレーリッヒ型)が典型として挙げられる。なお、急激に身長が伸びた痩身型でも生じることがある。
✗ 1. 誤り
女性に多い。
性別が逆で、男児に多い(およそ2〜3倍)。発症年齢も男児のほうがやや遅く、思春期の成長スパートの時期に一致する。
✗ 3. 誤り
アリス徴候陽性となる。
アリス徴候(ガレアジ徴候)は、背臥位で両膝を立てたときに膝の高さに左右差が出る所見で、先天性股関節脱臼(発育性股関節形成不全)の代表的な診察所見である。大腿骨頭すべり症で特徴的とされるのはドレーマン徴候(股関節屈曲時に強制的に外旋・外転する)で、両者は結び付かない。
✗ 4. 誤り
好発年齢は壮年期である。
好発は10〜16歳の思春期。骨端線が閉鎖する前の、成長スパートに伴って骨端線が力学的に弱くなる時期に限られる病態なので、骨端線が閉じた壮年期には起こらない。
ポイント
  • 大腿骨頭すべり症=10〜16歳の思春期男児に多い肥満型(フレーリッヒ型)に好発。骨頭が骨端線を境に後内方へずれる
  • 特徴的所見はドレーマン徴候(股関節屈曲で自動的に外旋・外転)。内旋制限、跛行、トレンデレンブルグ歩行を伴う
  • アリス(ガレアジ)徴候は先天性股関節脱臼の所見。混同しない
  • 股関節痛だけでなく膝痛・大腿部痛で受診することがある。膝の訴えでも股関節を必ず診る
  • 疑ったら荷重を避け、速やかに整形外科へ紹介する。進行すると大腿骨頭壊死・軟骨融解を招くため早期の固定術が図られる
比較表
疾患好発年齢性差特徴的な所見
大腿骨頭すべり症10〜16歳(思春期)男児に多いドレーマン徴候、内旋制限、肥満型に多い
ペルテス病4〜8歳男児に多い大腿骨頭の阻血性壊死、外転・内旋制限、膝痛で受診も
先天性股関節脱臼(発育性股関節形成不全)乳児期女児に多いアリス(ガレアジ)徴候、開排制限、大腿皮膚溝の左右差、クリックサイン
単純性股関節炎3〜10歳男児にやや多い先行する感冒後の一過性股関節痛、数日〜2週で軽快
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。