学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §10 疾患別各論 非感染性軟部・骨関節疾患 / QJ31P058

理由で解く 柔道整復師

QJ31P058 整形外科学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問58
問題
厚生労働省の早期リウマチの診断基準の項目で誤っているのはどれか。
選択肢
1 朝のこわばり
2 リウマトイド結節
3 リウマトイド因子
4 三つ以上の関節の腫脹
解答
正解2(リウマトイド結節)
解説

厚生省(現・厚生労働省)の早期関節リウマチ診断基準は、「進行しないと現れない所見」をあえて外して作られている。リウマトイド結節はその外された側にあたるため、答えは2。

早期関節リウマチ診断基準(1994年)の項目は、①朝のこわばり、②3個以上の関節の腫脹、③手関節・中手指節(MCP)関節・近位指節間(PIP)関節の腫脹、④対称性の関節腫脹、⑤リウマトイド因子陽性、⑥CRPまたは赤血球沈降速度の異常、の6つで、このうち3項目以上を満たし、かつ他の膠原病を除外できるものを早期関節リウマチとする。この基準は米国リウマチ学会(ACR)1987年基準を下敷きにしているが、ACR基準にあったリウマトイド結節単純エックス線での骨びらん・骨萎縮の2項目が意図的に落とされている。理由は明快で、どちらも罹病期間が長くなり、炎症が関節を壊してから初めて現れる所見だからである。早期に拾い上げたいのに、進行の証拠を条件にしては意味がない。代わりに炎症反応(CRP・赤沈)が加えられ、症状の持続期間もACR基準の6週間から3週間へ短縮されている。「早期基準=ACR基準から遅れて出るものを引き、炎症の指標を足したもの」と押さえると迷わない。

✓ 2. これが答え(基準の項目ではない)
リウマトイド結節
肘頭部など伸側の圧のかかる部位にできる無痛性の皮下結節で、リウマトイド因子高値で活動性の高い、進行した例に現れる関節外症状である。早期には出そろわないため、早期診断基準からは除かれている(ACR1987年基準には含まれる)。
✗ 1. 基準の項目に含まれる(答えではない)
朝のこわばり
滑膜炎による関節周囲の浮腫が睡眠中の不動で強まるために起こり、動かすうちにほぐれる。早期から出現し、持続時間が活動性の指標になる代表的な項目である。
✗ 3. 基準の項目に含まれる(答えではない)
リウマトイド因子
自己のIgGのFc部分に対する自己抗体で、血液検査で発症早期から捉えられる。基準の第5項目にあたる。ただし陰性例(血清反応陰性関節リウマチ)や、他の膠原病・感染症・健常高齢者でも陽性となることがある点は押さえておきたい。
✗ 4. 基準の項目に含まれる(答えではない)
三つ以上の関節の腫脹
基準の第2項目「3個以上の関節の腫脹」に対応する。関節リウマチは多関節性・対称性に手指の小関節から侵すのが特徴で、腫脹する関節の数と分布は早期から評価できる。
ポイント
  • 厚生省・早期関節リウマチ診断基準(1994年)=①朝のこわばり ②3個以上の関節腫脹 ③手関節・MCP・PIP関節の腫脹 ④対称性の関節腫脹 ⑤リウマトイド因子陽性 ⑥CRPまたは赤沈異常。3項目以上で該当し、他の膠原病を除外する
  • ACR1987年基準から外されたのはリウマトイド結節エックス線の骨びらん・骨萎縮。どちらも進行してから現れるため早期診断に使えない
  • リウマトイド結節は肘頭など伸側にできる無痛性皮下結節で、活動性が高く進行した例の関節外症状
  • 関節リウマチは多関節性・対称性に手指の小関節(MCP・PIP)を侵す。DIP関節は侵しにくい(変形性関節症との鑑別点)
  • 朝のこわばりの持続時間は活動性の目安。施術時は活動期の関節への強い操作を避け、経過を医師と共有する
比較表
項目ACR 1987年基準厚生省 早期RA基準(1994年)
朝のこわばりあり(1時間以上)あり
関節の腫脹(数)3領域以上の関節炎3個以上の関節腫脹
手関節・MCP・PIPありあり
対称性ありあり
リウマトイド因子ありあり
炎症反応(CRP・赤沈)なしあり(追加)
リウマトイド結節ありなし(除外)
エックス線変化ありなし(除外)
症状の持続6週間以上3週間以上
判定7項目中4項目以上6項目中3項目以上(他の膠原病を除外)
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