学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §10 疾患別各論 非感染性軟部・骨関節疾患 / QJ28P060

理由で解く 柔道整復師

QJ28P060 整形外科学

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問60
問題
原発性骨粗鬆症で正しいのはどれか。
選択肢
1 石灰化の障害によって骨が弱くなる疾患である。
2 やせが危険因子の一つである。
3 若年者ではみられない。
4 血清カルシウムは低値である。
解答
正解2(やせが危険因子の一つである。)
解説

原発性骨粗鬆症は、骨基質(類骨)と石灰化がそろって減って骨量が落ちる病気です。石灰化だけが障害されて類骨が残る骨軟化症とは本態が違います。やせ(低体重)は骨量が増えにくく減りやすい代表的な危険因子で、これが正しい記述です。

骨粗鬆症では類骨(骨基質)と石灰化がそろって減るため、単位体積あたりの骨量が低下します。さらに骨梁の連続性が失われるなど微細構造も劣化するので、骨密度の低下と微細構造の劣化が重なって骨強度が落ち、骨折しやすくなります。これに対し、石灰化だけが障害されて類骨が過剰に残るのは骨軟化症(小児ではくる病)で、ビタミンD不足やリン代謝異常が原因です。原発性骨粗鬆症は閉経後のエストロゲン低下と加齢が主因で、血清カルシウム・リン・ALPは基本的に正常範囲にとどまります。やせている人は骨にかかる力学的な負荷が小さく、脂肪組織でのエストロゲン産生も少ないため骨量が保ちにくくなります。したがって指導としては、極端な減量を避けて適正体重を保ち、カルシウムとビタミンD・タンパク質を確保し、荷重のかかる運動を続けること、そして転倒予防環境を整えることが実際に取れる行動になります。

✓ 2. 正しい
やせが危険因子の一つである。
低体重は骨に加わる荷重刺激が少なく、脂肪組織由来のエストロゲンも乏しいため骨量が低下しやすくなります。喫煙・過度の飲酒・運動不足・カルシウム/ビタミンD不足・骨折の家族歴とともに、代表的な危険因子として挙げられます。
✗ 1. 誤り
石灰化の障害によって骨が弱くなる疾患である。
これは骨軟化症(くる病)の説明です。骨粗鬆症では骨基質と石灰化が同じ割合で減少するため、石灰化そのものは障害されず、類骨が過剰に残ることもありません。骨量の低下に微細構造の劣化が加わって骨強度が落ちるのが本態です。
✗ 3. 誤り
若年者ではみられない。
原発性骨粗鬆症には特発性若年性骨粗鬆症や妊娠後骨粗鬆症が含まれ、若年でも発症します。さらに神経性やせ症、過度のトレーニングによる無月経(女性アスリートの三主徴)でも骨量は低下します。
✗ 4. 誤り
血清カルシウムは低値である。
原発性骨粗鬆症では血清カルシウム・リン・ALPはいずれも正常です。低カルシウム血症やALP高値がある場合は、骨軟化症・副甲状腺疾患・悪性腫瘍の骨転移など続発性の病態を疑って精査へつなげます。
ポイント
  • 骨粗鬆症は骨基質も石灰化もともに減る(石灰化障害ではない)。血清Ca・P・ALPは正常。
  • 骨強度=骨密度+骨質。骨粗鬆症では骨量低下に微細構造の劣化が加わって折れやすくなる。
  • 石灰化だけが障害され類骨が残るのは骨軟化症・くる病。ALP高値、Ca・P低値になりやすい。
  • 危険因子:閉経・加齢・やせ・喫煙・多量飲酒・運動不足・Ca/ビタミンD不足・家族歴。
  • 若年でも起こる(特発性若年性、妊娠後、女性アスリートの三主徴)。
  • 指導は「適正体重+荷重運動+Ca・ビタミンD・タンパク質+転倒予防」をセットで。
比較表
原発性骨粗鬆症骨軟化症(くる病)
本態骨基質・石灰化がともに減少(+微細構造の劣化)石灰化障害で類骨が過剰に残る
主因閉経・加齢ビタミンD不足、リン代謝異常
血清Ca正常低値〜正常
血清P正常低値
ALP正常高値
特徴的所見椎体圧迫骨折、大腿骨近位部骨折骨の変形(O脚)、偽骨折(Looser帯)
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