学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §10 疾患別各論 非感染性軟部・骨関節疾患 / QJ31P059

理由で解く 柔道整復師

QJ31P059 整形外科学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問59
問題
脆弱性骨折でないのはどれか。
選択肢
1 肋骨骨折
2 膝蓋骨骨折
3 胸椎圧迫骨折
4 大腿骨頸部骨折
解答
正解2(膝蓋骨骨折)
解説

脆弱性骨折とは、骨強度が低下した骨に立った高さからの転倒程度の弱い外力で生じる骨折をいう。好発部位は椎体・大腿骨近位部・橈骨遠位端・上腕骨近位部・肋骨で、膝蓋骨は含まれない。答えは2。

どこが脆弱性骨折を起こすかは、骨の中身の作りで説明できる。骨には表面の硬い皮質骨と、内部の網目状の海綿骨(骨梁)があり、骨粗鬆症ではまず海綿骨の骨梁が細り、途切れるところから強度が落ちていく。椎体、大腿骨頸部、橈骨遠位端はいずれも海綿骨に富む部位で、だからこそ日常の荷重や軽い外力で潰れたり折れたりする。椎体では尻もちどころか、重い物を持ち上げた・咳き込んだといった動作だけで圧迫骨折が起こり、痛みの自覚がないまま身長が縮み円背が進む「いつのまにか骨折」にもなる。肋骨も薄い骨で、咳や体幹をひねる動作、軽い胸部への圧迫で折れる。これに対し膝蓋骨は、大腿四頭筋という体で最も強い筋の腱の中に組み込まれた種子骨で、膝前面への直達外力か、膝屈曲位での大腿四頭筋の急激な収縮による牽引という強い力で折れる。若壮年でも起こる典型的な外傷性骨折であり、骨がもろいから折れる骨折という枠には入らない。

✓ 2. これが答え(脆弱性骨折に当たらない)
膝蓋骨骨折
大腿四頭筋腱に含まれる種子骨で、膝前面の直達外力大腿四頭筋の急激な牽引という強い外力で折れる。年齢を問わず起こる外傷性骨折であり、骨粗鬆症を背景とした好発部位には挙げられない。
✗ 1. 脆弱性骨折に当たる(答えではない)
肋骨骨折
薄く扁平な骨で、骨粗鬆症があると咳嗽や体幹のひねり、軽い圧迫だけでも折れる。高齢者では明らかな外傷歴がないまま生じることも多い。
✗ 3. 脆弱性骨折に当たる(答えではない)
胸椎圧迫骨折
海綿骨に富む椎体は骨粗鬆症の影響を最も受けやすく、胸腰椎移行部(第11胸椎〜第2腰椎)に好発する。尻もち、重量物の挙上、咳などの軽微な力で椎体が潰れ、円背と身長低下を招く。
✗ 4. 脆弱性骨折に当たる(答えではない)
大腿骨頸部骨折
高齢者が横向きに転倒し大転子部を打って生じる代表的な脆弱性骨折。関節包内骨折のため骨癒合しにくく、大腿骨頭壊死のおそれもある。歩行能力の低下から寝たきりに直結しやすく、早期の手術・離床が図られる。
ポイント
  • 脆弱性骨折=立った高さからの転倒程度の弱い外力で、骨強度が低下した骨に起こる骨折
  • 好発部位は椎体(胸腰椎移行部)・大腿骨近位部・橈骨遠位端・上腕骨近位部・肋骨。いずれも海綿骨に富む、あるいは薄い骨
  • 膝蓋骨骨折は直達外力または大腿四頭筋の急激な牽引による外傷性骨折で、脆弱性骨折の枠に入らない
  • 椎体骨折は痛みの自覚がないまま進むことがある(身長低下・円背が手がかり)
  • 高齢者の背部痛や起き上がり困難では、明らかな受傷歴がなくても脆弱性骨折を想定し、骨密度評価と再骨折予防(転倒対策・栄養・薬物治療)につなぐため医療機関へ紹介する
比較表
骨折背景主な外力好発年齢
胸椎(椎体)圧迫骨折骨粗鬆症(海綿骨の減少)尻もち・重量物挙上・咳、時に不明高齢者
大腿骨頸部骨折骨粗鬆症横向きの転倒(大転子部を打つ)高齢者
肋骨骨折骨粗鬆症咳嗽・体幹のひねり・軽い圧迫高齢者
橈骨遠位端骨折骨粗鬆症転倒して手をつく高齢者(閉経後女性)
膝蓋骨骨折骨質は問わない膝前面の直達外力/大腿四頭筋の急激な牽引年齢を問わない(青壮年にも多い)
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