学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §11 疾患別各論 全身性の骨・軟部疾患 / QJ31P060

理由で解く 柔道整復師

QJ31P060 整形外科学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問60
問題
高身長を呈するのはどれか。
選択肢
1 大理石骨病
2 軟骨無形成症
3 モルキオ(Morquio) 病
4 マルファン(Marfan) 症候群
解答
正解4(マルファン(Marfan) 症候群)
解説

高身長を呈するのはマルファン症候群。残る3つはいずれも高身長にはならない骨系統疾患である。答えは4。

この4疾患は「侵される組織が何か」で高身長・低身長が決まる。マルファン症候群は結合組織の微細線維をつくる蛋白フィブリリン-1(FBN1遺伝子)の異常による常染色体顕性(優性)遺伝疾患で、骨自体の成長は妨げられず、むしろ四肢・指趾が細長く伸びる。身体計測では、両上肢を左右に広げたときの中指先端間の長さ(指極、arm span)が身長を上回り(指極/身長 > 1.05)上半身/下半身比が小さい(下肢が相対的に長い)のが特徴で、指は細長い(くも指、蜘蛛指趾)。なお、上肢長(肩峰から指先まで)そのものは健常者でも身長の半分に満たず、マルファン症候群でも身長を上回ることはない。指標はあくまで「指極」である点を取り違えないこと。骨格以外にも、水晶体を支える毛様体小帯がゆるんで水晶体亜脱臼を生じ、大動脈壁の弾性線維が弱いため大動脈基部の拡張・解離を起こす。この大動脈病変が生命予後を左右するため、身体所見からの拾い上げが重要である。一方、軟骨無形成症とモルキオ病は骨・軟骨そのものの病気で低身長となり、大理石骨病も重症型(乳児悪性型)では成長障害をきたす。いずれも高身長にはならない。大理石骨病は破骨細胞の機能不全で骨吸収ができず、骨が硬く緻密になるが構造としてはもろく易骨折性を示し、骨髄腔が狭まるため重症型では汎血球減少・肝脾腫・低身長をきたす(成人型=良性型・Albers-Schönberg病では身長は正常のことが多く、骨硬化像や易骨折性が主体)。軟骨無形成症は成長軟骨板での軟骨内骨化が障害されるため、軟骨内骨化で伸びる四肢長管骨が短くなり四肢短縮型低身長となる(膜性骨化による頭蓋は保たれるので相対的に大頭・鼻根部陥凹となる)。モルキオ病はムコ多糖症IV型で、分解できないムコ多糖が軟骨・骨に蓄積し、脊椎の扁平化が著しいため体幹短縮型低身長を呈し、歯突起低形成による環軸椎不安定性から脊髄症をきたすことがある。

✓ 4. 正しい
マルファン(Marfan) 症候群
フィブリリン-1の異常による結合組織疾患で、高身長・くも指・指極>身長(指極/身長 > 1.05)・上半身/下半身比の低下のほか、側弯や漏斗胸、関節弛緩、水晶体亜脱臼を伴う。大動脈基部拡張・解離が予後を決めるため、該当が疑われる人には激しい接触競技や強い伸張操作を避け、循環器・眼科を含めた医学的評価につなぐ。
✗ 1. 誤り
大理石骨病
破骨細胞の機能不全で骨吸収が進まず、エックス線で骨全体が白く硬く写る。硬いが弾性に乏しくもろいため易骨折性を示す。重症型(乳児悪性型)では骨髄腔の狭小化から汎血球減少・肝脾腫をきたし、成長も障害される。成人型(良性型・Albers-Schönberg病)では身長は正常のことが多く、いずれにせよ高身長とはならない。
✗ 2. 誤り
軟骨無形成症
成長軟骨板での軟骨内骨化が障害される代表的疾患で、四肢短縮型低身長となる。頭蓋は膜性骨化で伸びるため相対的に大きく、鼻根部の陥凹、腰椎前弯の増強、脊柱管狭窄を伴いやすい。
✗ 3. 誤り
モルキオ(Morquio) 病
ムコ多糖症IV型で、蓄積したムコ多糖が軟骨・骨を侵す。椎体の扁平化が強く体幹短縮型低身長を呈し、外反膝・鳩胸・関節弛緩を伴う。歯突起低形成による環軸椎不安定性があり、頸部の急な操作は避ける。
ポイント
  • 高身長+くも指+指極>身長+水晶体亜脱臼+大動脈基部拡張=マルファン症候群(フィブリリン-1/FBN1異常、常染色体顕性遺伝)
  • 計測所見は指極(両上肢を広げた中指先端間)/身長 > 1.05上半身/下半身比の低下。「上肢長が身長を上回る」ではない(上肢長は健常者でも身長の半分に満たない)
  • 低身長は伸びない部位で分類する。四肢短縮型=軟骨無形成症体幹短縮型=モルキオ病
  • 大理石骨病は破骨細胞の機能不全。骨は硬いがもろく易骨折性を示す。汎血球減少・肝脾腫・低身長は主に重症型(乳児悪性型)の所見で、成人型(良性型)では身長は正常のことが多い
  • モルキオ病は環軸椎不安定性があり、頸部の急激な操作・強い牽引は避けて医科と連携する
  • マルファン症候群が疑われる場合、大動脈解離のリスクを踏まえ、循環器・眼科の評価につなぐ
比較表
疾患身長本態特徴的所見
マルファン症候群高身長フィブリリン-1異常(結合組織)くも指、指極>身長(指極/身長 > 1.05)、上半身/下半身比の低下、水晶体亜脱臼、大動脈基部拡張・解離、側弯・漏斗胸
軟骨無形成症低身長(四肢短縮型軟骨内骨化の障害相対的大頭、鼻根部陥凹、腰椎前弯増強、脊柱管狭窄
モルキオ病低身長(体幹短縮型ムコ多糖症IV型椎体扁平化、環軸椎不安定(歯突起低形成)、外反膝、鳩胸
大理石骨病正常〜低身長(重症型で低身長破骨細胞の機能不全骨硬化像、易骨折性、重症型で汎血球減少・肝脾腫
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