学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §16 脳卒中(救急法) / QJ31P054

理由で解く 柔道整復師

QJ31P054 外科学概論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問54
問題
心原性脳塞栓症の治療に続いて起こり得るのはどれか。
選択肢
1 ウイリス動脈輪閉塞症
2 脳動静脈奇形
3 動脈瘤破裂
4 出血性梗塞
解答
正解4(出血性梗塞)
解説

心原性脳塞栓症では、詰まっていた塞栓子が溶けたり血栓回収で取り除かれたりして血流が再開したとき、すでに傷んだ血管から血液が漏れ出て出血性梗塞を生じることがあります。

心原性脳塞栓症は、心房細動などで心内にできた血栓が剥がれて脳の主幹動脈を突然閉塞するもので、太い血管が詰まりやすく梗塞巣が大きくなります。閉塞した領域では虚血によって血管内皮と血液脳関門が壊れ、血管壁がもろくなっています。ここに血流が戻ると(塞栓子の自然融解、rt-PA静注療法、血栓回収療法による再開通)、脆弱化した血管から赤血球が漏出し、梗塞巣の中に出血が起こります。これが出血性梗塞で、突然閉塞して再開通しやすい心原性脳塞栓症でとくに起こりやすい合併症です。多くは点状〜斑状の出血で無症状のこともありますが、血腫を形成すると神経症状が悪化するため、再開通療法の後は厳格な血圧管理と画像による経過観察が行われます。他の3つはいずれも治療に続いて生じる病態ではありません。

✓ 4. 正しい
出血性梗塞
虚血で脆くなった血管床に血流が戻る「再灌流」がきっかけです。梗塞巣が大きいほど、また抗凝固薬や血栓溶解薬を用いるほどリスクが上がるため、治療後は血圧を厳格に管理し、意識レベルや麻痺の悪化がないか繰り返し評価します。
✗ 1. 誤り
ウイリス動脈輪閉塞症
いわゆるもやもや病で、内頸動脈終末部が両側性・進行性に狭窄閉塞し、側副血行路として「もやもや血管」が発達する原因不明の疾患です。小児では過換気を契機とした一過性脳虚血、成人では出血で発症します。脳塞栓症の治療に続いて生じるものではありません。
✗ 2. 誤り
脳動静脈奇形
胎生期に生じる先天性の血管奇形で、毛細血管を介さずに動脈と静脈がナイダスを通じて直接つながっています。脳内出血・くも膜下出血やてんかんで発症しますが、後天的に形成されるものではないため、治療の続発症にはなりません。
✗ 3. 誤り
動脈瘤破裂
脳動脈瘤の破裂はくも膜下出血の原因で、もともと存在する動脈瘤が破れて起こります。心原性脳塞栓症の治療に続いて典型的に生じる合併症ではありません。再開通後に問題となるのは、梗塞巣内に生じる出血性梗塞です。
ポイント
  • 心原性脳塞栓症=心房細動などの心内血栓が主幹動脈を突然閉塞。梗塞巣が大きく、症状は突発完成型。
  • 虚血で血液脳関門と血管内皮が破綻 →再開通(再灌流)で漏出 → 出血性梗塞。
  • 誘因は塞栓子の自然融解、rt-PA静注療法、血栓回収療法、抗凝固療法。
  • 治療後は血圧管理と画像フォローで、症状悪化の有無を確認する。
  • もやもや病・脳動静脈奇形・脳動脈瘤はいずれも「もともとある」血管病変で、治療の続発症ではない。
比較表
脳梗塞の病型機序発症の様子出血性梗塞
心原性脳塞栓症心内血栓が主幹動脈を閉塞突発・症状が最初から完成起こりやすい
アテローム血栓性動脈硬化による狭窄・血栓安静時・段階的に進行比較的少ない
ラクナ梗塞穿通枝の細動脈硬化軽症・限局した症状まれ
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