学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §18 主要な疾患 腎・尿路疾患 / QJ31P041

理由で解く 柔道整復師

QJ31P041 一般臨床医学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問41
問題
腎前性急性腎障害(AKI)の原因となるのはどれか。
選択肢
1 脱水
2 尿管結石
3 急速進行性糸球体腎炎
4 非ステロイド性抗炎症薬
解答
正解1(脱水)
解説

急性腎障害は、障害の起こる場所で腎前性・腎性・腎後性に分けます。脱水は「腎に届く血流が減る」腎前性の代表です。

腎前性は、出血、脱水、激しい下痢や嘔吐、心不全、敗血症などによって有効循環血漿量が減り、糸球体への血流と濾過圧が落ちることで生じます。腎そのものは無傷なので、尿は必死に濃縮され、尿量減少・尿比重の上昇・尿浸透圧の上昇・尿中ナトリウムの低下がみられ、BUN/クレアチニン比が20以上に開くのが手がかりです。この段階で輸液により循環を戻せば腎機能は回復しますが、虚血が続くと尿細管が壊死して腎性(急性尿細管壊死)へ移行し、回復が難しくなります。腎性は糸球体腎炎、急性尿細管壊死、急性間質性腎炎など腎実質そのものの障害。腎後性は尿の通り道が塞がるもので、両側尿管の結石、前立腺肥大症、骨盤内腫瘍などが原因になります。なお薬剤は一つの分類に収まるとは限らず、NSAIDsやACE阻害薬・ARBのように腎前性の機序(腎血流・糸球体濾過圧の低下)をとるものもあれば、腎実質を傷める腎性の機序をとるものもあります。高齢者では発熱・下痢・利尿薬の使用で容易に脱水に傾くため、施術前後の水分摂取を確認し、尿量の減少や強い倦怠感があれば受診を勧めます。

✓ 1. 正しい
脱水
循環血漿量が減少して腎血流が低下する、腎前性の典型的な原因です。早期に輸液で循環を回復させれば腎機能は戻りますが、放置すると急性尿細管壊死へ移行します。
✗ 2. 誤り
尿管結石
尿の通り道が塞がれることによる腎後性の原因です。ただし片側の尿管結石では対側の腎が働くため腎不全には至りにくく、両側の閉塞や単腎の場合に問題になります。
✗ 3. 誤り
急速進行性糸球体腎炎
糸球体そのものが急速に破壊される腎性(腎実質性)の代表です。数週から数か月で腎機能が悪化し、血尿・蛋白尿・赤血球円柱を伴います。
✗ 4. 単独の最適解ではない(答えではない)
非ステロイド性抗炎症薬
NSAIDsは、プロスタグランジンの産生を抑えて輸入細動脈を収縮させ腎血流を下げるという腎前性の機序と、急性間質性腎炎・腎乳頭壊死という腎性の機序の両方を持ちます。ただし本問で腎前性の典型として選ぶべきは、循環血漿量の減少という最も直接的な原因である脱水です。
ポイント
  • 腎前性=腎へ届く血流の低下。脱水・出血・心不全・敗血症が代表
  • 腎性=腎実質の障害。糸球体腎炎、急性尿細管壊死、薬剤性(NSAIDs等は腎前性・腎性の両方をとりうる)
  • 腎後性=尿路の閉塞。両側尿管結石、前立腺肥大症、骨盤内腫瘍
  • 腎前性では尿が濃縮される(尿比重上昇・尿中Na低下・BUN/Cr比20以上)
  • 腎前性は早期の輸液で回復しうるが、遷延すると急性尿細管壊死へ移行する
比較表
腎前性腎性腎後性
障害の場所腎に届く血流腎実質(糸球体・尿細管・間質)尿の出口(尿路)
代表的原因脱水、出血、心不全、敗血症(薬剤ではNSAIDs・ACE阻害薬・ARBも)急性尿細管壊死、糸球体腎炎、薬剤性間質性腎炎(NSAIDsを含む)両側尿管結石、前立腺肥大症、骨盤内腫瘍
尿比重上昇低下(等張尿)さまざま
尿中ナトリウム低下上昇さまざま
BUN/クレアチニン比20以上10前後さまざま
治療の基本輸液で循環量を戻す原疾患の治療閉塞の解除(尿路ドレナージ)
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