学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §18 主要な疾患 腎・尿路疾患 / QJ31P040

理由で解く 柔道整復師

QJ31P040 一般臨床医学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問40
問題
ネフローゼ症候群の所見で誤っているのはどれか。
選択肢
1 浮腫
2 尿蛋白陽性
3 血清総蛋白低下
4 低コレステロール血症
解答
正解4(低コレステロール血症)
解説

ネフローゼ症候群は「高度の蛋白尿・低アルブミン血症・浮腫・脂質異常症」が柱です。コレステロールは下がるのではなく上がります。

糸球体基底膜の障害によって血漿蛋白が尿へ漏れ出し、1日3.5g以上の持続する蛋白尿と、血清アルブミン3.0g/dL以下(血清総蛋白の低下)を来します。アルブミンが減ると血漿膠質浸透圧が下がるため、水分が血管内に留まれず組織へ移動し、眼瞼や下腿に浮腫が出ます。ここで肝臓は、失われたアルブミンを補おうと蛋白合成を全体に高めます。その過程でリポ蛋白(LDL)の合成も増え、加えてリポ蛋白リパーゼの活性低下により異化(分解)が落ちるため、血清コレステロールは上昇します。つまり「アルブミンが減る」と「コレステロールが増える」は同じ機序の裏表です。合併症としては、免疫グロブリンが尿へ失われることによる易感染性と、アンチトロンビンⅢの喪失による血栓症に注意します。

✗ 1. 正しい所見(答えではない)
浮腫
低アルブミン血症で血漿膠質浸透圧が低下し、水分が血管外へ移動して生じます。眼瞼(とくに朝の顔のむくみ)や下腿に出やすく、高度になると腹水・胸水を伴います。
✗ 2. 正しい所見(答えではない)
尿蛋白陽性
1日3.5g以上の持続する高度蛋白尿が診断の必須条件です。蛋白が混じるため尿が泡立ち、なかなか消えないという訴えにつながります。
✗ 3. 正しい所見(答えではない)
血清総蛋白低下
アルブミンが尿へ大量に漏れるため、血清アルブミンは3.0g/dL以下となり、血清総蛋白も低下します。これも診断の必須条件です。
✓ 4. これが答え(誤り)
低コレステロール血症
実際には高コレステロール(高LDL)血症になります。低下したアルブミンを補おうと肝臓の蛋白合成が亢進する際にリポ蛋白の合成も増え、さらにリポ蛋白リパーゼ活性の低下で異化が落ちるためです。「低アルブミン血症とセットで高コレステロール血症」と覚えます。
ポイント
  • 診断の必須条件は、1日3.5g以上の蛋白尿と血清アルブミン3.0g/dL以下
  • 参考条件として浮腫と脂質異常症(高LDLコレステロール血症)
  • コレステロールは上がる。肝臓の代償的合成亢進+異化の低下による
  • 浮腫の機序は膠質浸透圧の低下による水分の血管外移動
  • 合併症は易感染性(免疫グロブリンの喪失)と血栓症(アンチトロンビンⅢの喪失)
比較表
ネフローゼ症候群急性糸球体腎炎(腎炎症候群)
蛋白尿高度(3.5g/日以上)軽度〜中等度
血尿目立たないことが多い目立つ(肉眼的血尿・コーラ色尿)
血清アルブミン低下(3.0g/dL以下)保たれることが多い
コレステロール上昇通常は変化なし
浮腫高度(眼瞼・下腿、腹水)あり(水・Na貯留による)
血圧正常〜低下することも上昇
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。