学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §1 診察概論 / QJ31P024

理由で解く 柔道整復師

QJ31P024 一般臨床医学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問24
問題
診察で正しいのはどれか。
選択肢
1 診療録は記載しなくてもよい。
2 主観的情報より客観的情報が重要である。
3 治療者と患者との信頼関係の構築は治療効果に影響する。
4 個人情報を保護するために診療録は速やかに破棄することが望ましい。
解答
正解3(治療者と患者との信頼関係の構築は治療効果に影響する。)
解説

診察は情報を集める技術であると同時に、患者との関係づくりそのものです。信頼関係(ラポール)の質は、そのまま治療効果に跳ね返ります。

患者は「この人になら話せる」と感じて初めて、痛みの本当の強さや、生活のどこで困っているかを語ってくれます。語られる情報が増えるほど評価は正確になり、こちらが伝えた運動や生活上の注意も守られやすくなります(アドヒアランスの向上)。逆に信頼が薄いと、同じ手技でも効果を実感しにくく、途中で来院が途切れます。一方で診療録・施術録は、治療の連続性を保ち、他職種への引き継ぎや後日の説明責任を支える公的性格の記録であり、作成と一定期間の保存が法令・規程で定められています。医師の診療録は医師法により5年間、柔道整復師の施術録も療養費の取扱いに関する規程により施術完結の日から5年間の保存が求められます。個人情報の保護は「早く捨てること」ではなく、「保存期間中は確実に守り、期間満了後に復元できない方法で廃棄すること」で達成されます。

✗ 1. 誤り
診療録は記載しなくてもよい。
記載は義務です。記録がなければ、何を評価し何を行ったかを証明できず、前回との比較もできません。毎回、主訴・所見・施術内容・指導内容を、短くても必ず残しましょう。
✗ 2. 誤り
主観的情報より客観的情報が重要である。
客観的情報(視診・触診・徒手検査の所見)は重要ですが、主観的情報(患者の訴え、痛みの性状、生活背景)と対等です。痛みは本人にしか語れない主観的情報であり、どちらが上ということはありません。SOAPのS(主観)とO(客観)を両方そろえ、突き合わせて判断します。
✓ 3. 正しい
治療者と患者との信頼関係の構築は治療効果に影響する。
信頼関係が築けているほど情報は正確に集まり、患者自身が治療に参加する度合いも上がります。挨拶と自己紹介、目線の高さをそろえる、話をさえぎらずに聴く——こうした基本の積み重ねが、医学的な効果を持つ介入になります。
✗ 4. 誤り
個人情報を保護するために診療録は速やかに破棄することが望ましい。
保存期間が定められているため、速やかな破棄はできません。保存期間中は施錠・アクセス制限・持ち出し禁止で守り、期間満了後にシュレッダーや溶解など復元不能な方法で廃棄する、という手順で保護します。
ポイント
  • 診療録・施術録は「記載する・定められた期間保存する・その間しっかり守る」がセット
  • 医師の診療録は5年間、柔道整復師の施術録も療養費の規程で5年間の保存
  • 主観的情報(S)と客観的情報(O)は優劣ではなく両輪
  • ラポール形成はアドヒアランスを高め、治療効果に影響する医学的な介入
  • 個人情報保護=適切な管理+保存期間満了後の確実な廃棄
比較表
主観的情報(S)客観的情報(O)
情報源患者本人の言葉治療者の観察・測定
内容の例痛みの部位・性状・程度、受傷機転、生活の支障、期待視診・触診所見、関節可動域、徒手検査、腫脹・変形
強み本人にしか分からない体験を拾える再現性があり、経過を数値で比較できる
弱み表現に個人差がある訴えの背景や生活文脈は分からない
扱いどちらが重要かではなく、両方そろえて突き合わせる
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