学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §9 内分泌 / QJ31A090

理由で解く 柔道整復師

QJ31A090 生理学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問90
問題
インスリンの作用で増加するのはどれか。
選択肢
1 血中遊離脂肪酸濃度
2 血中カリウムイオン濃度
3 肝のケトン体産生
4 肝のグリコーゲン合成
解答
正解4(肝のグリコーゲン合成)
解説

インスリンは同化(蓄える)方向のホルモンで、肝臓ではブドウ糖をグリコーゲンとして貯蔵する反応が進む。

インスリンは食後の高血糖に応じて膵ランゲルハンス島のB(β)細胞から分泌される。筋・脂肪組織ではGLUT4を細胞膜に移動させてブドウ糖の取り込みを増やし、肝臓ではグリコーゲン合成を促して糖新生を抑える。脂肪組織ではホルモン感受性リパーゼの働きを抑えて脂肪分解を止めるため血中の遊離脂肪酸は減り、肝臓に流れ込む脂肪酸が減る結果ケトン体の産生も減る。さらに細胞のナトリウムポンプを活性化してK⁺を細胞内へ移すため、血中K⁺濃度は下がる。「蓄える方向のものは増え、動員する方向のものは減る」と一本の軸で整理すると、この形式の設問はまとめて処理できる。

✓ 4. 正しい
肝のグリコーゲン合成
インスリンはグリコーゲン合成酵素を活性化し、取り込んだブドウ糖を貯蔵型のグリコーゲンに変える。同時に糖新生とグリコーゲン分解を抑えるため、血糖が下がる。インスリンの中心的作用そのものである。
✗ 1. 誤り
血中遊離脂肪酸濃度
低下する。インスリンは脂肪組織での脂肪分解を抑え、逆に中性脂肪の合成と貯蔵を進めるため、血中に出てくる遊離脂肪酸は減る。
✗ 2. 誤り
血中カリウムイオン濃度
低下する。インスリンは細胞のナトリウムポンプを活性化してK⁺を細胞内へ移動させる。高カリウム血症に対してブドウ糖とインスリンを投与する治療は、この作用を利用したものである。
✗ 3. 誤り
肝のケトン体産生
低下する。脂肪分解が抑えられて肝臓へ流入する脂肪酸が減り、ケトン体の材料が減るためである。インスリンが不足するとケトン体が過剰に作られ、糖尿病ケトアシドーシスに至る。
ポイント
  • インスリンは血糖を下げる唯一のホルモンで、膵ランゲルハンス島B(β)細胞から分泌される。
  • 肝臓:グリコーゲン合成↑、糖新生↓、ケトン体産生↓。
  • 筋・脂肪:GLUT4によるブドウ糖取り込み↑、タンパク質合成↑、脂肪分解↓。
  • 血中では、ブドウ糖↓・遊離脂肪酸↓・カリウム↓がまとめて起こる。
  • 血糖を上げる側はグルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンなど複数あり、下げる側はインスリンだけ。
比較表
インスリングルカゴン
分泌細胞ランゲルハンス島B(β)細胞ランゲルハンス島A(α)細胞
分泌のきっかけ血糖上昇(食後)血糖低下(空腹時)
肝グリコーゲン合成を促進分解を促進
糖新生抑制促進
脂肪分解・ケトン体抑制促進
血中K⁺低下(細胞内へ移動)目立った作用はない
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