学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §12 神経 / QJ31A085

理由で解く 柔道整復師

QJ31A085 生理学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問85
問題
歩行の基本的なパターンを生み出す神経機構が存在するのはどれか。
選択肢
1 脊髄
2 延髄
3 小脳
4 大脳
解答
正解1(脊髄)
解説

左右の脚を交互に動かす歩行のリズムそのものを生み出す神経回路(中枢パターン発生器)は、脊髄にある。

脊髄には、上位中枢からの細かい指令がなくても屈筋と伸筋、そして左右の脚を交互に動かすリズムを自律的に作り出す神経回路があり、中枢パターン発生器(CPG)と呼ばれる。脊髄より上位を切り離した動物でも、トレッドミル上で後肢が歩行様の交互運動を示すことが古くから知られており、これがパターン発生の座が脊髄にあることの根拠となっている。ただし上位中枢が不要というわけではなく、中脳の歩行誘発野が歩き出しと速さを決め、小脳と大脳が状況に応じて修正するという階層構造をとる。「パターンを生み出す場所」と「開始・調節する場所」を分けて理解しておくと、この種の問題は迷わない。

✓ 1. 正しい
脊髄
脊髄の介在ニューロン群が、屈筋と伸筋を交互に、かつ左右で逆位相に活動させるリズムを生成する。反射の中継点であるだけでなく、それ自体が運動パターンを作る回路をもっている点が要点である。
✗ 2. 誤り
延髄
延髄には呼吸中枢や心臓血管中枢など生命維持に関わる中枢が集まる。網様体脊髄路を通じて姿勢筋の緊張を調節するが、歩行のリズムを作り出す場所ではない。
✗ 3. 誤り
小脳
小脳は歩行の協調・平衡・タイミングの調節と運動学習を担う。障害されると歩隔の広い失調性歩行になるが、これはパターンを作れないのではなく、調節ができないために生じる。
✗ 4. 誤り
大脳
大脳皮質は「歩き出す」「障害物をまたぐ」といった目的に応じた運動の企画と随意的な指令を担当する。基本パターンの発生源ではなく、パターンに修正を加える立場にある。
ポイント
  • 歩行の基本パターン(左右交互のリズム)を生み出すのは脊髄の中枢パターン発生器(CPG)。
  • 中脳の歩行誘発野が歩行の開始と速度を決める。
  • 小脳は協調とタイミングの調節、大脳は企画と随意的な修正を担う。
  • 脊髄は反射の通り道であると同時に、リズムを作る回路そのものをもつ。
  • 脊髄動物で歩行様の交互運動が観察されるという実験事実が、CPGの根拠になっている。
比較表
部位歩行への関わり
脊髄基本パターン(リズム)の発生=CPG
中脳歩行誘発野が歩行の開始と速度を決める
延髄・脳幹網様体下行路を介して姿勢筋の緊張を調節
小脳協調・平衡・タイミングの調節、運動学習
大脳運動の企画と随意的な修正
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