学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §35 包帯法 / QJ31A037

理由で解く 柔道整復師

QJ31A037 必修問題

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問37
問題
写真(別冊 No. 1)の名称はどれか。
図
選択肢
1 デゾー包帯
2 ヴェルポー包帯
3 ジュール包帯
4 胸十字帯
解答
正解3(ジュール包帯)
解説

写真は、患側(右)上肢を体幹に固定し、患手を健側(左)の肩の上に置かせた冠名包帯法です。患側の肩から肘へ縦に下ろした帯と、上腕ごと体幹を締める水平の環行帯とが直交して格子状に重なっており、ジュール包帯にあたります。正答は3。

選択肢はまず2群に分かれます。デゾー・ヴェルポー・ジュールは人名を冠した冠名包帯法で、いずれも上肢を体幹に固定して肩・上腕の動きを抑えるもの。これに対し胸十字帯は部位別包帯法で、上肢を体幹に締結する働きはありません。

写真に写っているのは次の形です。患側の肘は鋭角に屈曲し、患手は健側の肩の上に置かれ、肩関節は強い内転・内旋位に保たれています。前腕は胸の前で包帯に覆われ、手部だけが外に出ています。患側の肩から上腕の外側を縦に走る帯が数条下り、肘を包んで折り返しています。これと直交して、上腕ごと体幹を締める水平の環行帯が数条走り、さらに前胸部を斜めに横切る斜行帯が加わって、肩・上腕・肘がひとかたまりに覆われています。健側の肩と上肢は覆われず自由です。

ここで1と4が消えます。デゾー包帯は患側腋窩に枕子を入れて上腕を体側に密着させ、前腕は体幹の前で水平に保持します。患手が健側の肩の上に上がることはありません。胸十字帯は胸背部で帯を十字(8の字)に交差させて両肩を後方へ引く包帯法で、上肢を体幹に締結しません。写真はどちらの形とも合いません。

残る2と3は固定肢位が共通です。「患手を健側の肩に置き、肩を強い内転・内旋位に保つ」形はヴェルポー包帯にもジュール包帯にも当てはまるため、肢位だけでは決まりません。両者を分けるのは帯の組み立て方です。ヴェルポー包帯は斜行帯と環行帯を交互に重ねて上肢を体幹に引きつけます。ジュール包帯はこれを土台に、患側の肩から肘へ縦に下ろして肘を回る垂直帯を加え、環行帯と直交させて肩・上腕・肘を格子状に包み込む改良型です。写真に現れているのはこの格子状の構成であり、だから3が選ばれます。

いずれの包帯も狙いは肩関節の外転・外旋を止めることで、鎖骨骨折や肩関節脱臼の整復後などに用います。体幹に及ぶ包帯を巻いた後は、腋窩の圧迫による神経・血管の障害がないか、手指の色調・温度・感覚に変化がないかを必ず確認し、緩んだら巻き直します。

✓ 3. 正しい
ジュール包帯
患手を健側の肩に置いた肢位で上肢を体幹に固定し、肩から肘へ下ろす垂直帯と、上腕ごと体幹を締める環行帯とを直交させて、肩・上腕・肘を格子状に包み込む。写真の帯の重なりはまさにこの構成である。装着後は腋窩の圧迫と手指の循環・感覚を確認し、緩んだら巻き直す。
✗ 1. 誤り
デゾー包帯
第1帯から第4帯までを順に巻く構成が決まっている包帯法。患側腋窩に枕子を入れて上腕を体側に密着させ、前腕は体幹の前で水平に保持する。患手が健側の肩の上に乗る形にはならないので、写真とは合致せず、ここは自信をもって消せる。
✗ 2. 誤り
ヴェルポー包帯
患側の手を健側の肩に乗せ、肩を強い内転・内旋位に保って上肢を体幹に固定する方法。固定肢位はジュール包帯と共通なので、ここで迷うのは当然である。ただしヴェルポー包帯は斜行帯と環行帯を交互に重ねる構成で、写真のように肩から肘へ縦に下ろした帯が環行帯と直交して格子をつくることはない。「形は同じ、違うのは帯の組み立て」と整理しておく。
✗ 4. 誤り
胸十字帯
胸背部で帯を十字(8の字)に交差させ、両肩を後方へ引く部位別包帯法で、冠名包帯法ではない。上肢を体幹に固定して肩の動きを抑える働きはない。写真では上腕が体幹に締結されているので除外できる。
ポイント
  • 冠名包帯法はデゾー・ヴェルポー・ジュールの3つ。いずれも上肢を体幹に固定する。胸十字帯は部位別包帯法で、両肩を後方へ引くだけで上肢は固定しない。
  • 写真の肢位「患手を健側の肩に置き、肩を強い内転・内旋位に保つ」はヴェルポー包帯とジュール包帯に共通。肢位だけでは2と3は決まらない。
  • デゾー包帯は腋窩に枕子を入れ、上腕を体側に密着させて前腕を体幹の前で水平に保持する。患手を健側の肩には乗せないので、写真から確実に外せる。
  • ヴェルポー包帯は斜行帯+環行帯の構成。ジュール包帯はそこに肩から肘へ下ろす垂直帯を加え、環行帯と直交させて肩・上腕・肘を格子状に包む改良型。写真に見える格子状の重なりが決め手。
  • 狙いはいずれも肩関節の外転・外旋の制動。鎖骨骨折や肩関節脱臼の整復後などに用いる。
  • 体幹に及ぶ包帯は装着後に腋窩の圧迫と手指の色調・温度・感覚を確認し、緩んだら巻き直す。
比較表
包帯法分類帯の組み立て写真との照合
ジュール包帯冠名包帯法肩から肘へ下ろす垂直帯と環行帯を直交させ、肩・上腕・肘を格子状に包む(斜行帯も併用)一致(正答)。肢位も帯の格子状の重なりも写真どおり
ヴェルポー包帯冠名包帯法斜行帯と環行帯を交互に重ねて上肢を体幹へ引きつける肢位は一致するが、写真の格子状の構成にはならない
デゾー包帯冠名包帯法第1〜4帯(腋窩枕子の固定・上腕の締結・三角帯・前腕の保持)不一致。前腕は体幹の前で水平に保持し、患手は健側肩に乗らない
胸十字帯部位別包帯法胸背部で十字(8の字)に交差させる不一致。両肩を後方へ引くのみで、上肢を体幹に固定しない
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