学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §21 肘内障の診察および整復 / QJ31A021

理由で解く 柔道整復師

QJ31A021 必修問題

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問21
問題
肘内障でみられるのはどれか。
選択肢
1 肘関節外側部の腫脹
2 肘関節外反動揺性
3 輪状靱帯の亜脱臼
4 単純エックス線像での異常所見
解答
正解3(輪状靱帯の亜脱臼)
解説

肘内障の本態は、橈骨頭に対して輪状靱帯がずれ込む亜脱臼です。関節包の中で起こるわずかなずれなので、腫脹も変形もエックス線の異常も出ないのが最大の特徴です。

好発は1〜4歳の幼小児です。この年齢の橈骨頭はまだ丸みに乏しく輪状靱帯との間に遊びがあるため、前腕が回内した状態で手を急に引かれると橈骨頭が遠位へ滑り、輪状靱帯の近位縁が橈骨頭を乗り越えて腕橈関節に入り込みます。骨折や靱帯断裂ではないので出血がなく、患児は肘軽度屈曲・前腕回内位で上肢を下げたまま使わなくなります(偽性麻痺)。整復は前腕の回外(または回内)と肘屈曲を組み合わせて輪状靱帯を元の位置に戻す操作で、整復時にクリックを触知し、直後から患肢を自分で使い始めるのが確認点です。逆に、腫脹・変形・皮下出血が明らかなときや、整復操作で疼痛が続くときは、上腕骨顆上骨折・外側顆骨折・橈骨頸部骨折などを考えて、エックス線検査ができる医療機関の受診を勧めます。

✓ 3. 正しい
輪状靱帯の亜脱臼
これが肘内障の病態そのものです。橈骨頭が輪状靱帯から一部抜け出し、輪状靱帯が腕橈関節に入り込んだ状態を指します。だからこそ整復は切ったり縫ったりする処置ではなく、前腕の回旋と肘屈曲で靱帯を元の位置へ戻す徒手操作になります。
✗ 1. 誤り
肘関節外側部の腫脹
組織の破綻を伴わないため、腫脹・熱感・皮下出血は生じません。外側部が腫れている場合は上腕骨外側顆骨折や橈骨頸部骨折を疑い、整復操作を繰り返さずに医療機関へつなぐのが安全です。
✗ 2. 誤り
肘関節外反動揺性
外反動揺性は内側側副靱帯が損なわれたときの所見です。肘内障では靱帯の連続性が保たれているため動揺性は現れません。動揺性を認めたら靱帯損傷や骨端線損傷を考えます。
✗ 4. 誤り
単純エックス線像での異常所見
ずれがごくわずかなので、単純エックス線では原則として異常を指摘できません。撮影は肘内障を証明するためではなく、骨折を除外するために行われます。「エックス線が正常」はむしろ肘内障を支持する材料です。
ポイント
  • 肘内障=橈骨頭に対する輪状靱帯の亜脱臼。関節包内のずれなので出血・腫脹がない。
  • 好発は1〜4歳。前腕回内位で手を引かれて発症し、肘軽度屈曲・前腕回内位で上肢を下垂して使わなくなる。
  • 腫脹・変形・皮下出血・エックス線異常のいずれかがあれば骨折を疑い、医療機関の受診を勧める。
  • 整復は前腕の回旋操作と肘屈曲で行い、クリックの触知と、直後に患肢を自分で使い始めることを確認する。
  • 再発しやすいので、手を強く引かない・持ち上げるときは体幹を支えるなど、保護者への生活指導まで行う。
比較表
所見肘内障上腕骨顆上骨折内側側副靱帯損傷
好発年齢1〜4歳5〜10歳投球動作を行う年代以降
受傷機転前腕回内位での牽引(手を引かれる)転倒して手をつく(過伸展)肘への外反ストレス
腫脹・変形なし著明内側部に腫脹・圧痛
外反動揺性なし骨性の異常可動性あり
単純エックス線異常なし骨折線・fat pad sign など骨には異常なし(ストレス撮影で開大)
対応徒手整復が可能速やかに医療機関へ固定と後療。程度により医師と連携
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