学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ30P121

理由で解く 柔道整復師

QJ30P121 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問121
問題
20歳の男性。柔道の乱取り中、右足部外返しで踏ん張った際、足関節部の疼痛を自覚し来所した。圧痛部(別冊 No. 5)を別に示す。足関節を他動的に背屈、外旋させると疼痛が増強した。考えられるのはどれか。
図
選択肢
1 前距腓靱帯損傷
2 二分靱帯損傷
3 三角靱帯損傷
4 前脛腓靱帯損傷
解答
正解4(前脛腓靱帯損傷)
解説

足関節を他動的に背屈させたうえで外旋を加えて痛みが増すのは、遠位脛腓間を押し開く操作にあたる。別冊No.5の圧痛部(×印)も外果の前上方、脛骨と腓骨の間に置かれており、前脛腓靱帯損傷、いわゆる足関節果部より高い位置で起こる「高位捻挫」を考える。

距骨滑車は前方が幅広く後方が狭い。そのため足関節を背屈すると幅の広い前方部が脛骨と腓骨の間に入り込み、脛腓間はもともと押し広げられる方向に緊張する。ここへさらに外旋が加わると、距骨が腓骨を外側後方へ押し出し、前脛腓靱帯が強く引き伸ばされる。外返しで踏ん張った際に足部が外側へ、下腿が内側へねじれる形になった受傷機転とも合致する。別冊No.5は右足部を外側からみた外観写真で、×印は外果の丸い隆起より上方かつ前方、ちょうど遠位脛腓関節の前面にあたり、前脛腓靱帯の走行部と一致する。徒手検査では外旋ストレステスト(足を背屈位で外旋させる)やスクイーズテスト(下腿中央で脛骨と腓骨を握り込むと遠位脛腓間に痛みが放散する)で確かめる。前脛腓靱帯損傷は通常の内返し捻挫より治癒に時間がかかり、脛腓間の離開が残ると足関節の適合性が崩れて変形性関節症につながる。腓骨近位部の骨折を伴うメゾヌーブ骨折の可能性もあるので、腓骨全長の圧痛を確認したうえで画像評価を医師に依頼し、初期は荷重を制限して固定する。

✓ 4. 正しい
前脛腓靱帯損傷
背屈で距骨滑車の広い前方部が脛腓間に入り込み、そこへ外旋が加わって腓骨が外方へ押し出されると前脛腓靱帯が緊張する。他動的背屈+外旋で疼痛が増強するという所見に一致し、図の圧痛部(外果前上方の脛腓間)とも合致する。
✗ 1. 誤り
前距腓靱帯損傷
足関節捻挫で最も多い損傷だが、緊張するのは底屈・内返し(内転)位であり、背屈すると逆に緩む。圧痛は外果の前方から前下方に限局し、前方引き出しテストが陽性となる。図の×印は外果より上方にあり、誘発肢位も圧痛部位も合わない。
✗ 2. 誤り
二分靱帯損傷
踵骨前方突起から立方骨と舟状骨へ張る靱帯で、底屈・内返し強制で損傷する。圧痛は足根洞の前方、足背外側にあり、足関節そのものではなく足根部の障害である。図の×印よりずっと遠位であり、背屈・外旋で誘発される痛みの説明にもならない。
✗ 3. 誤り
三角靱帯損傷
外返し・外旋の強制で損傷し得る点は機転が近いが、緊張するのは内側であり、圧痛は内果の下方に出る。本例の圧痛部は外側(外果の前上方)に示されており当てはまらない。ただし強い外旋外力では前脛腓靱帯と三角靱帯が同時に損傷することもあるため、内果下方の圧痛も併せて確認しておく。
ポイント
  • 背屈+外旋で痛む=遠位脛腓間を押し開く操作=前脛腓靱帯損傷(高位捻挫)。
  • 距骨滑車は前方が広く、背屈すると脛腓間が押し広げられる方向に緊張する。
  • 圧痛は外果の前上方、遠位脛腓関節の前面。確認は外旋ストレステストとスクイーズテスト。
  • 前距腓靱帯は底屈・内返しで緊張し背屈で緩む。三角靱帯は内果下方の圧痛。
  • 脛腓間離開やメゾヌーブ骨折の合併に注意し、画像評価を医師へ。初期は荷重制限と固定。
比較表
靱帯受傷肢位圧痛部位誘発テスト
前脛腓靱帯背屈+外旋(外返し)外果前上方の脛腓間外旋ストレステスト、スクイーズテスト
前距腓靱帯底屈+内返し外果の前方〜前下方前方引き出しテスト
踵腓靱帯背屈位での内返し外果の下方内反ストレステスト
三角靱帯外返し(外反)+外旋内果の下方外反ストレステスト
二分靱帯底屈+内返し足根洞前方・足背外側足部の内転強制で疼痛
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