学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ30P120

理由で解く 柔道整復師

QJ30P120 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問120
問題
45歳の男性。フットサル中、左下腿下部後面に蹴られたような痛みを自覚し、翌日来所した。来所時の写真(別冊 No. 4)を別に示す。本人の希望によって保存的に施術することにした。固定肢位はどれか。
図
選択肢
1 膝関節伸展、足関節背屈
2 膝関節伸展、足関節底屈
3 膝関節屈曲、足関節背屈
4 膝関節屈曲、足関節底屈
解答
正解4(膝関節屈曲、足関節底屈)
解説

下腿下部後面を「蹴られた」ような衝撃で発症する外傷は、アキレス腱皮下断裂の典型です。断端どうしを近づけるため、膝関節屈曲+足関節底屈で固定します。正答は4です。

アキレス腱皮下断裂は30〜50代のスポーツ愛好者に多く、ダッシュや踏み切り、切り返しの瞬間に急な伸張が加わって、血行の乏しい腱実質部(踵骨付着部の2〜6cm上方)で切れます。本人は誰かに蹴られたと感じ、断裂音を聞くことも多く、歩行はできても爪先立ちができません。触診では腱の連続性が絶たれた陥凹を触れ、腹臥位で下腿三頭筋を握っても足関節が底屈しないトンプソンテスト(シモンズテスト)が陽性になります。本症例では写真(別冊No.4)が所見として提示されています。保存療法で必要なのは、下腿三頭筋の緊張をゆるめて断端を接近させる肢位です。腓腹筋は大腿骨顆部から起こる二関節筋なので膝を屈曲させると起始側がゆるみ、さらに足関節を底屈させると停止側が近づくため、この組合せで腱の距離が最も短くなります。以後は足関節の背屈角度を段階的に戻していきます。

✓ 4. 正しい
膝関節屈曲、足関節底屈
膝屈曲で二関節筋である腓腹筋の起始側がゆるみ、足関節底屈で停止側が近づくため、断端間の距離が最小になります。断端を接触させた状態で治癒を待つ保存療法の基本肢位です。
✗ 1. 誤り
膝関節伸展、足関節背屈
膝伸展で腓腹筋が伸ばされ、背屈でさらに腱が引き伸ばされます。4肢のなかで最も断端が離れる肢位で、治癒を妨げます。
✗ 2. 誤り
膝関節伸展、足関節底屈
底屈で停止側は近づきますが、膝が伸びていると腓腹筋の起始側が伸張されたままで、ゆるみが足りません。
✗ 3. 誤り
膝関節屈曲、足関節背屈
膝屈曲でせっかくゆるめても、背屈が腱を強く伸張して断端を引き離します。背屈は最も避けたい方向です。
ポイント
  • 受傷機転は踏み切り・ダッシュ・切り返し。「蹴られた感じ」「断裂音」を訴える。好発は30〜50代。
  • 好発部位は血行の乏しい踵骨付着部の2〜6cm上方の腱実質部。
  • 所見は腱の陥凹爪先立ち不能トンプソンテスト陽性(腹臥位で下腿三頭筋を握っても底屈しない)。歩行は可能なことがあるので油断しない。
  • 保存療法の固定肢位は膝関節屈曲+足関節底屈。腓腹筋は二関節筋なので膝の肢位も効く。
  • 背屈は断端を引き離すため禁忌。以後は背屈角度を段階的に戻していく。
比較表
肢位腓腹筋の起始側(膝)腱の停止側(足)断端間の距離
膝屈曲+足底屈ゆるむ近づく最小(適切)
膝伸展+足底屈伸ばされる近づくやや離れる
膝屈曲+足背屈ゆるむ引き離される離れる
膝伸展+足背屈伸ばされる引き離される最大(避ける)
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