学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ30P119

理由で解く 柔道整復師

QJ30P119 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問119
問題
22歳の女性。バスケットボールの試合でジャンプシュート時、体幹を捻じりながら着地した瞬間に右膝が崩れ断裂音を自覚した。膝関節屈曲制限と荷重不能で試合続行は不可能であった。 ,考えられる靱帯損傷はどれか。
選択肢
1 内側側副靱帯
2 外側側副靱帯
3 前十字靱帯
4 後十字靱帯
解答
正解3(前十字靱帯)
解説

非接触で体幹を捻じりながら着地し、断裂音とともに膝が崩れて荷重できない。前十字靱帯損傷の典型的なストーリーである。

前十字靱帯は脛骨が前方へずれるのを止め、同時に回旋を制動している。ジャンプの着地、急停止、方向転換のように、膝が軽度屈曲しながら外反し下腿が外旋する肢位(いわゆるknee-in, toe-out)になると、相手との接触がなくても靱帯にかかる張力が破断強度を超えてしまう。受傷の瞬間には「ポップ」という断裂音を自覚し、直後から膝崩れ(giving way)が起きて荷重できなくなる。数時間以内に関節血症が生じ、関節内圧の上昇によって屈曲が制限されるため、設問の「屈曲制限と荷重不能」もそろって説明できる。バスケットボール、ハンドボール、スキーで頻度が高く、女性に多いことも知られている。評価はラックマンテスト、前方引き出しテスト、Nテスト(ピボットシフト)で行うが、急性期に痛みを押して徒手検査を繰り返すことは避け、関節血症の有無を確認したうえで固定・免荷を行い、医療機関での画像評価につなぐ。半月板損傷や内側側副靱帯損傷の合併も念頭に置く。

✓ 3. 正しい
前十字靱帯
非接触型の受傷、体幹の捻りを伴う着地、断裂音の自覚、膝崩れと荷重不能、関節血症による屈曲制限。いずれも前十字靱帯損傷の代表的所見であり、この組み合わせが最も合致する。
✗ 1. 誤り
内側側副靱帯
膝への外反強制で損傷する。相手選手との接触で膝の外側から力を受ける形が典型で、圧痛は内側関節裂隙から大腿骨内側上顆にかけて出る。関節外の靱帯なので高度の関節血症や断裂音は通常伴わない。
✗ 2. 誤り
外側側副靱帯
内反強制で損傷するが、単独損傷はまれ。損傷時は後外側支持機構や総腓骨神経の障害を合併しやすい。今回の外反・外旋を伴う受傷機転とは方向が逆である。
✗ 4. 誤り
後十字靱帯
膝屈曲位で脛骨粗面の前面を強打する(ダッシュボード損傷)など、脛骨を後方へ押し込む力で損傷する。接触外力によることが多く、非接触の着地で断裂音とともに膝が崩れる本症例の経過とは一致しない。
ポイント
  • 非接触+着地・急停止・方向転換+断裂音(ポップ)+膝崩れ=前十字靱帯損傷
  • knee-in, toe-out(膝軽度屈曲・外反・下腿外旋)が受傷肢位。予防はこの肢位を作らない動作学習
  • 関節内靱帯なので数時間以内に関節血症を生じ、関節内圧の上昇で屈曲が制限される
  • 検査はラックマンテストが最も感度が高い。前方引き出し、Nテストを併用
  • 急性期は徒手検査を繰り返さず、固定・免荷のうえ画像評価へ。半月板・内側側副靱帯の合併に注意
比較表
靱帯代表的な受傷機転特徴的所見・検査
前十字靱帯非接触の着地・急停止・方向転換(外反+下腿外旋)断裂音、膝崩れ、関節血症。ラックマン/前方引き出し/Nテスト
後十字靱帯膝屈曲位で脛骨前面を強打(ダッシュボード損傷)サギング、後方引き出しテスト
内側側副靱帯外反強制(膝外側からの接触)内側裂隙の圧痛、外反ストレステスト陽性
外側側副靱帯内反強制内反ストレステスト陽性、腓骨神経障害の合併
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