学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ30P115

理由で解く 柔道整復師

QJ30P115 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問115
問題
20歳の男性。中華料理店でアルバイトをしている。最近、中華鍋を振る際、左手関節橈側付近に激しい痛みを自覚したため来所した。患部に熱感と腫脹がみられ、フィンケルスタインテストは陽性であった。物理療法で適切なのはどれか。
選択肢
1 ホットパック療法
2 マイクロ波療法
3 局所浴療法
4 寒冷療法
解答
正解4(寒冷療法)
解説

患部に熱感と腫脹がある=炎症が活動している時期。選択肢のうち炎症を抑える方向に働くのは寒冷療法だけである。

フィンケルスタインテスト陽性と手関節橈側の痛みは、第1伸筋区画(長母指外転筋・短母指伸筋)の狭窄性腱鞘炎、いわゆるド・ケルバン病を示す。中華鍋を振る動作は手関節の尺屈と母指の反復使用そのもので、典型的な発症状況といえる。物理療法の選択は「今どの時期か」で決まる。熱感・腫脹があるうちは、温熱を加えると血管が拡張し局所代謝が亢進して、腫脹と疼痛をかえって強めうる。この段階では寒冷によって局所代謝・炎症反応・神経伝導を抑え、あわせて母指から手関節を含む固定と誘発動作(尺屈+母指使用)の回避を指導する。熱感・腫脹が引いて慢性期に移ってから、温熱や超音波などで組織の柔軟性回復と血流改善を図る、という順序で組み立てるとよい。職場に対しては鍋の持ち方や作業の分担を相談し、再燃を防ぐ環境づくりまで提案する。

✓ 4. 正しい
寒冷療法
熱感・腫脹を伴う急性炎症期には、寒冷により局所の血管を収縮させ、代謝と炎症反応、疼痛の伝導を抑えるのが適切。固定と誘発動作の回避を組み合わせることで効果が上がる。
✗ 1. 誤り
ホットパック療法
伝導熱で表在組織を温める方法。血流を増やして組織の柔軟性を高めるため、熱感・腫脹が引いた慢性期には有用だが、炎症が活動している時期には腫脹と痛みを助長しうる。
✗ 2. 誤り
マイクロ波療法
極超短波によって深部まで温める高周波療法。加温という作用は同じであり、急性炎症期の腱鞘炎には適さない。金属体の存在など禁忌の確認も必要になる。
✗ 3. 誤り
局所浴療法
温浴で患部を温める方法で、これも加温にあたる。急性期に用いると腫脹を増やしやすく、この時点での選択としては不適切。慢性期の可動域改善を狙う段階で検討する。
ポイント
  • 熱感・腫脹があれば急性炎症期。物理療法は「冷やす」を選ぶ
  • ホットパック・マイクロ波・局所浴はいずれも加温。この時期には腫脹を助長しうる
  • ド・ケルバン病=第1伸筋区画(長母指外転筋・短母指伸筋)の狭窄性腱鞘炎。フィンケルスタインテスト陽性
  • 寒冷単独ではなく、母指を含む固定+誘発動作(尺屈+母指反復)の回避をセットで行う
  • 熱感・腫脹が消えた慢性期に温熱・超音波へ切り替え、柔軟性と血流の改善を図る
比較表
物理療法主な作用急性炎症期(熱感・腫脹あり)
寒冷療法血管収縮、代謝・炎症・疼痛伝導の抑制適する
ホットパック療法表在の加温、血流増加適さない(慢性期に)
マイクロ波療法深部の加温適さない(慢性期に)
局所浴療法温浴による加温適さない(慢性期に)
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