学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ30P116

理由で解く 柔道整復師

QJ30P116 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問116
問題
35歳の女性。3週前に手関節の掌側に膨隆を見つけ来所した。環指・小指のしびれと疼痛を自覚し、感覚障害が手掌尺側にみられた。徒手検査で陽性になるのはどれか。
選択肢
1 ファーレンテスト
2 フローマン徴候
3 尺屈回外テスト
4 パーフェクトOテスト
解答
正解2(フローマン徴候)
解説

手関節掌側の膨隆(ガングリオンなど)が尺骨神経管(ギヨン管)で尺骨神経を圧迫した状態。母指内転筋の麻痺をみるフローマン徴候が陽性となる。

尺骨神経は、豆状骨と有鈎骨鉤の間にできるギヨン管を通って手掌に入り、その中で感覚を担う浅枝と運動を担う深枝に分かれる。この部で圧迫されると、環指尺側と小指のしびれ・疼痛、手掌尺側の感覚障害が出る。一方、手背尺側の感覚は手関節より近位で分岐する背側枝が担うため保たれるのが特徴で、これが肘部管症候群(手背尺側の感覚も障害される)との区別点になる。深枝が障害されると骨間筋・虫様筋(第3・4)・母指内転筋が麻痺する。紙を母指と示指ではさませると、母指内転筋が働かないため長母指屈筋で代わりに押さえようとし、母指IP関節が屈曲する。これがフローマン徴候である。進行すれば鷲手変形や第1背側骨間筋の萎縮が現れる。原因はガングリオン、有鈎骨鉤骨折、自転車のハンドルによる長時間の圧迫などで、本例のように3週前からの膨隆と一致する神経症状があれば、腫瘤の評価と神経障害の程度の判定のため医師へ紹介する。

✓ 2. 正しい
フローマン徴候
尺骨神経深枝の支配する母指内転筋の麻痺をみる検査。紙をつまませると母指内転筋で押さえられず、長母指屈筋の代償で母指IP関節が屈曲する。ギヨン管での尺骨神経障害を示す所見であり、本例の症状分布と一致する。
✗ 1. 誤り
ファーレンテスト
手関節を最大掌屈して保持し、正中神経領域(母指・示指・中指・環指橈側)のしびれが誘発されるかをみる手根管症候群の検査。本例の症状は環指尺側・小指と手掌尺側であり、支配領域が異なる。
✗ 3. 誤り
尺屈回外テスト
手関節に尺屈と前腕回外を加えて、尺側手根伸筋腱やTFCC(三角線維軟骨複合体)に由来する手関節尺側部痛を誘発する検査。同じ「尺側」でも見ているのは腱・軟骨の障害であり、神経の絞扼を判定する検査ではない。
✗ 4. 誤り
パーフェクトOテスト
母指と示指できれいな輪をつくらせる検査で、前骨間神経麻痺(長母指屈筋と示指の深指屈筋の麻痺)があると指先が伸びてティアドロップ型になる。正中神経系の運動枝をみる検査であり、尺骨神経障害では陽性にならない。
ポイント
  • 手関節掌側の膨隆+環指尺側・小指のしびれ+手掌尺側の感覚障害=ギヨン管症候群。
  • 手背尺側の感覚は背側枝が担うため保たれる。ここが肘部管症候群との鑑別点。
  • フローマン徴候は母指内転筋(尺骨神経深枝支配)の麻痺を示し、母指IP関節が屈曲する。
  • ギヨン管は豆状骨と有鈎骨鉤の間。ガングリオン、有鈎骨鉤骨折、ハンドルによる圧迫が原因。
  • 徒手検査は支配神経で整理する:ファーレン=正中神経、パーフェクトO=前骨間神経、尺屈回外=TFCC・腱。
比較表
項目ギヨン管症候群肘部管症候群手根管症候群
絞扼部位豆状骨と有鈎骨鉤の間肘内側(尺骨神経溝)手根管(横手根靱帯下)
障害神経尺骨神経(手関節部)尺骨神経(肘部)正中神経
感覚障害手掌尺側のみ(手背尺側は保たれる)手掌・手背とも尺側母指〜環指橈側の掌側
陽性となる検査フローマン徴候フローマン徴候、肘屈曲テスト、チネル徴候ファーレンテスト、チネル徴候
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